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野球 - nikkansports.com

2007-05-28

北信越BCリーグ開幕戦観戦記《最終回》

 北信越BCリーグ開幕戦の観戦レポート。4回目の今日はいよいよ最終回となりました。
 4月28日の開幕戦(http://kozo.boxerblog.com/kozo/2007/05/post_4ba1.html)、翌4月29日の富山の試合(http://kozo.boxerblog.com/kozo/2007/05/post_b78e.html)、同日夜の石川での開幕戦(http://kozo.boxerblog.com/kozo/2007/05/post_5702.html)と3試合に渡って現地の雰囲気をレポートしてきた石原豊一氏。
 最後はまとめの回として、過去海外の野球の試合も多く見てこられた石原氏独自の視点も踏まえながら、北信越BCリーグに関する今後の課題を綴っております。野球ファン必見のレポートをどうぞ。

   
北信越BCリーグ、これからの課題

070528bc_01独立リーグの運営には観客の動員が、観客の動員には魅力ある選手の存在がカギを握る。選手の一層の奮闘を望みたい

 開幕後、連日4000人近くの観客を集め大盛況のBCリーグ。この人気を維持するには、まだまだ課題も多い。先述の試合運営もそうだが、何と言っても「プロ野球」である限り、ファンは選手のプロフェッショナルなプレーを期待している。その点では、この開幕シリーズを見た限りでは、今後いっそうのレベルアップが必要と感じた。
 失策数は開幕試合が3、2日目の富山での試合が4で、金沢が3。この数字はプロとしてはあまりに多すぎる。記録に残っているエラーだけでなく、お粗末なプレーも多かった。

 幸い、開幕後、ゴールデンウィーク中は各球場目標の5000人近い観客を集めていた。まずは招待券を配ってとにかく球場に来てもらう、という作戦は成功しているといって良い。この動員は観客数の低迷に悩む先行の四国アイランドリーグを大いに参考にし、事前に地元との連繋に力を入れた結果と言えるだろう。
 しかし開幕後は、地域スポーツの盛んな新潟こそ健闘しているものの、他の球場の観客数が軒並み1000人を割るなど、早くも観客見込みの甘さが露呈している。これが続くようだと、スポンサーの減少などリーグ存続が危ぶまれることにもなりかねない。

 ただ、とにもかくにも、四国アイランドリーグ発足に続いて北信越BCリーグが船出を迎えたことで、日本にもようやく「マイナーリーグ」が市民権を得た感じはしてきた。
 かつては、NPB球団の中にも2軍を地方に移して独立採算にしようという動きがあったが、採算のめどが立たず名称の変更だけにとどまった。今では1軍から独立し得ない中途半端な存在になっている。
 このあたりの違いは、要は実行力の違いだろう。NPBは2軍の運営にどれだけの経営努力をし、地道な営業活動をしてきたかについては疑問符がつく。今後は、NPBの「3軍」あるいは若手の混成軍が、このような地方リーグに参加する方策も考えていいのではなかろうか。

   
色々な意味においてユニホームをドロドロにする野球を

070528bc_02開幕こそ内野席を埋めるほどの観客がおとずれたが、その後は各地とも苦戦中。地元ファンが生活の一部として根付くことに期待(写真は金沢での地元開幕戦)

 最後に私がもう10年以上も前にあるアメリカの田舎町のファンから聞いた台詞を紹介しておこう。ここに独立リーグ存続の鍵が隠されているような気がするからだ。
 ワシントン州、シアトルとカナダのバンクーバの間にベリンハムという小さな港町がある。アラスカへの船が出ると言う以外何もない田舎町に、かつてショートシーズンAクラスのジャイアンツのファームチームがあった。
 20勝投手ラス・オーティスやツインズのクローザー、ジョー・ネイサンがここで腕を磨いていた。ネット裏の小さなスタンドとベースまでの簡易スタンドがあるだけのスタジアムでの観戦は、暗い照明にこの地方特有の寒さで決して心地よいものではなかった。
 半袖に短パン姿で凍える私に上着をかけてくれた中年のファンと、試合後バスターミナルへ歩いて帰る途中、私が「マリナーズの試合には行かないのか?」と質問すると、彼はこう答えた。

 「いかねえよ。あんな金にいじきたないやつらのプレーよりも、ここの選手の方がよほどはつらつとしている。メジャーの試合でユニホームを汚して球に食らいつくやつらがいるか? この町の若いやつらはいつもユニホームをドロドロにしているじゃないか」

 1990年代に入って、アメリカではMLBを頂点とする「オーガナイズド・ベースボール」に属しない独立のプロリーグが興り、これがマイナーリーグブームともいうべき現象を巻き起こしている。テレビの普及により、一度は存亡の危機にたたされたマイナーリーグが、今ではスタンドいっぱいのファンをうめるようになったのだ。
 このファンの台詞は極端にしても、全米の多くのファンは現在では「ハレ」の野球、MLBを休日など特別な日に楽しみ、普段着の「ケ」の野球である地元マイナーリーグの野球を1日の終わりに楽しんでいる。

 日本にもいつかこのような風習が本格的におとずれる日が来ることを夢見て、北信越BCリーグに希望を託したい。

(取材・文/石原豊一)

2007-05-23

北信越BCリーグ開幕戦観戦記《その3》

 北信越BCリーグ開幕戦の観戦レポート。今回は第3弾です。
 4月28日の開幕戦(http://kozo.boxerblog.com/kozo/2007/05/post_4ba1.html)、翌4月29日の富山の試合(http://kozo.boxerblog.com/kozo/2007/05/post_b78e.html)に続きまして、同日夜の石川での開幕戦にまで足を運んだ石原豊一氏が、現地の生の雰囲気をレポートいたします。

富山から金沢へ

4月29日(ナイトゲーム) 石川1-2新潟(石川県営野球場)

Ishikawa石川での地元開幕戦はナイトゲーム。「プロ野球」という雰囲気が最も実感できた

 富山から急いで移動、金沢駅に着いたのは試合開始30分前だった。さすがにこのダブル観戦はきつい。石川県営野球場は市の西はずれ、駅員に尋ねると北口からバスがあるという。バス乗り場に行くが、しばらくバスはないようだ。タクシーを使う羽目になるのかと思っていると、なんと球場近くの温泉健康ランド行きのシャトルバスが止まっていた。なんという幸運。ちゃっかりこれに乗って、健康ランドまで行き、球場までは歩いて5分ほどだった。ちなみにこの健康ランドは24時間オープンで遠方からナイター観戦した後の宿泊には便利だ。ホテルも併設しているので、是非使ってみよう。
 チケット1000円也を購入してスタンドへ。ここも席は内野自由のみ、ちなみにBCリーグではこの1000円の内野自由席が中学生以下の子どもは何と200円。これなら小遣いでも観戦できる。家族連れでもお父さんの財布もいたまない。いまどきNPBの試合を家族で観戦すれば、1万円ではきかない。このあたりのリーズナブルさは今後家族連れを増やして行くことだろう。
 また、マイカーで観戦に来る家族連れの多いこの球場では、アルコールの販売はない。そう言えば、かつて観戦したアメリカの独立リーグ・テキサス=ルイジアナ・リーグのラッボックというチームもスタンドではアルコール禁止だった。球場内でのアルコールの売上げは球団の貴重な収入源ではあるのだが、このあたりにファミリー客を重視する球団の姿勢がうかがわれる。

 この試合も地元開幕戦とあって、内野スタンドは7割方埋まっていた。カクテル光線に照らし出される観客で埋まったスタンドは、目の前で行われている試合が紛れもなく「プロ野球」であることを、今回観たどの球場よりも実感させてくれる。
 しかし、試合の方はいまいちしまらない。肝心なところでの失策に無意味なフォアボール、そして、ここぞというチャンスでの凡退。特に4回に3点を取った新潟は初勝利を意識したのか、終盤になればなるほど硬さが出てきた。一方の石川もここぞというところであと一本が出ない。観ている方にとってはストレスのたまる試合だが、スタンドのファンは目の前の「ルーキー」の集団にあたたかい拍手を送っている。スタンドの観客の大半は石川のファンだが、ビジターベンチの1塁側スタンドにはわざわざ新潟からかけつけた熱心なファンもいて、このリーグを支えようとする北陸の野球ファンの熱気を感じた。

土壇場で出た好プレー

Ishikawa02石川対新潟の地元開幕戦は終盤に白熱。追いすがる石川を新潟が振り切る形で勝利した

 試合終盤は、スタンドをチームカラーの紺色に染めたファンの声援を受け、石川が攻勢に出る。8回裏に1点を返し、1点差で迎えた9回裏。チーム初勝利のプレッシャーからか、ストライクの入らない新潟の3人目藤野仁から3つの塁を奪った。1アウト満塁。スタジアムの誰もが石川の勝利を確信しただろう。
 そしてライナーの打球がセンターへ飛んだ。スタンドの確信が現実になった、と誰もが思ったその瞬間、猛然とダッシュしてきたセンター頓所大輔が打球をキャッチした。それでもタッチアップで同点だと誰もが思っただろう。しかし、ショート阿部康生の中継からキャッチャーへの送球は走者より早くホームプレートにたどり着いた。転がり込む走者をブロックする捕手。「同点」に湧くスタンドが、アンパイアの挙げた手によって静まった。しばらく続く静寂。スタンドの観客も選手達も一瞬何が起こったかわからないようだった。
 湧きかえる新潟ナインとうなだれる石川ナイン。NPBでも年に1度目にすることができるかどうかというすばらしいプレーだった。7回に試合時間が3時間を越えたこの試合で、フィナーレまで残っていたファンは試合開始時の半分ほど。しかし、試合が終わった22時48分まで残っていたファンは、この夜行われた試合が紛れもなく「プロフェッショナル」のゲームであることを実感して帰ったに違いない。
 試合後、コーチ兼任選手の根鈴雄次選手は、間延びしたゲームに「こんな試合して申し訳ない」と言った。しかし、私はこの夜の試合で野球は9回裏まで何が起こるかわからない、いうことをあらためて教えてもらった。

(取材・文/石原豊一)

北信越BCリーグ開幕戦観戦記。次回はいよいよ最終回です。3試合観戦した石原氏が、リーグの今後の取るべき姿勢について総括いたします。次の更新をお楽しみに。

2007-05-19

北信越BCリーグ開幕戦観戦記《その2》

 今年からスタートした北信越BCリーグ。今回は観戦レポート第2弾の登場です。
 4月28日の開幕戦のレポート(http://kozo.boxerblog.com/kozo/2007/05/post_4ba1.html)に続きまして、翌4月29日の試合の模様についても、『野球小僧』の「ワールドベースボールレポート」でおなじみのライター・石原豊一氏が観戦記をまとめてくれました。現地の生の雰囲気を交えた貴重なレポートをお届けいたします。

この季節にお勧めの富山アルペンスタジアム

4・29 富山サンダーバーズ5-4信濃グランセローズ(富山アルペンスタジアム)

Toyama01外野席の向こうには絶景が広がる富山アルペンスタジアム

 この季節の富山平野は実に美しい。そろそろ田植えの始まろうかという田園風景の向こうにはまだ雪をかぶった立山連峰が望める。その田園風景の真中にたたずむ富山市民球場・アルペンスタジアムは日本有数の美しい球場だ。
 試合開始2時間前にも関わらず、駐車場には随分車が停まっている。すでに球場前はお祭りムード。但し、昨日ような屋台が並ぶような賑わいはない。チケットを買って入場。スタンドまでの通路でスポーツ新聞が手渡された。一面は何と、昨日のサンダーバーズの快勝記事。このスタジアム限定の販促版か思ったが、スポーツ報知は週末の地方特別版を出して、このBCリーグをバックアップする方針らしい。読売もようやく野球界が「地方の時代」を迎えていることに気がついたのか。ともかくもいい傾向だ。
 メディアの報道と球団の繁栄が表裏一体であることはこの新聞社が一番良く知っている。なんとか続けてもらえば、今後のリーグの発展に希望が持てる。ちなみにこのリーグに対する新聞の扱いは様々で、地方新聞はスポーツ面のメインを昨日の開幕戦が占めているだけでなく、社会面でも取り上げていたが、全国紙ではスポーツ面での扱いは小さく、地方版で記事があるくらい。ほかの全国紙や他のスポーツ新聞ではスコアしか載っていないものもあった。メディアの方でも今後、このリーグの扱いをどうするかは暗中模索といったところなのだろう。

 開門直後というのにスタンドはかなり人が入っていた。富山球団のチケットは全て内野自由席。3万人収容のこのアルペンスタジアムを持つ富山では外野席は開放しない方針だ。
 ネット裏の通路より前は全て招待客席。リーグでは固定ファン確保のため、各球団かなりの数の招待パス、招待券を配布している。この招待席はパス所持者のみ入れる。まずは常連客をという戦略なのだろう。この手法は、現在の福岡ソフトバンクホークスがまだダイエーだった頃、移転後間もない九州のファンを獲得するために取り入れて大きな成功を収めている。ダイエー球団は福岡移転直後、レプリカ帽を子どもに配りまくり、10数年後に成人したファンが固定客としてスタジアムに足を運ぶようになったのだ。その一方で、独立リーグの先輩格である四国アイランドリーグでは、初年度の入場見込み1試合1000人を達成したものの、招待客の割合が多すぎて肝心の収支が赤字になる、という結果に終わっている。果たしてBCリーグのこの戦略は功を奏すのか。

 球場には続々と人がやってくる。見ると大部分の人は入場券売り場に寄らずに入場してきている。ほとんどが招待券をもっているのだろう。それでもこの入場者の数は売店の売上に直結する。スタンドにはサンダーバーズグッズに身をつつんだファンが大勢いる。無名の選手が集まっているこのリーグでは選手の名が分からない…ということで、大半の客は選手名鑑(500円)を購入している。スポンサー収入が命綱である事情から、新潟、信濃のユニフォームは広告だらけで背番号の上下はスポンサー名が入っている。信濃のユニフォームに至っては、チーム名はどこにもなく胸にメインスポンサーのきのこ会社のロゴがデカデカと入っている。両球団のユニフォームは、サッカーのジャージのような感覚だ。
 しかし、富山は4チームで唯一、背番号の上にローマ字で選手名が入っている。ファンに選手を覚えてもらおうという配慮である。ちなみに個人的には、石川のユニフォームが一番なじみの深い感じがする。ここだけがホーム・ビジターを使い分け、ビジター用には「M’s」、ホーム用には「ミリオンスターズ」のローマ字が入っていてかっこいい。
 というわけで、これだけ客が入れば売店での売り上げも見込めるはずだが、売り場には弁当とスナック、飲み物くらいしかない。球団グッズもう少し品揃えを良くしてもいいのではないかと思った。確かに観客の入りが予測できない中で仕入れをするのだから予測も難しいだろうが、リーグ発展のため、あえてここは一言言っておく。ただ、売店の並ぶスタンド通路では、新聞社を中心にプレゼントが大盤振る舞いされいた。これは固定ファン獲得に一役買ってくれそうだ。

多くの観客が見つめる中、試合は白熱の好展開

 スタンドに戻ると、すでに両軍選手のシートノックが始まっていた。実力的には、やはりNPBとの差を感じる。特に内野ゲッツーの時などでは、二塁手がベースの上で一塁に転送している。これではプロの激しいスライディングに足をとられてしまう。まずは基礎から丁寧にということかも知れないが、選手には早くプロのフットワークを身につけてほしい。
 ノックは試合40分前に終了。続いて開幕セレモニーが行われた。地元出身シンガー達の歌にダンシングチームのパフォーマンス。このリーグのもうひとつの顔、地域文化の交流の場としての顔がうかがえる。
 続いて選手紹介。地元富山の選手の紹介になると、信濃の時には静まり返っていたスタンドから大きな拍手が沸きあがった。特にNPB出身の「リストラの星」、宮地克彦兼任コーチ(元ソフトバンク)にはひときわ大きな拍手と声援が送られた。ちなみに宮地はこの2日でヒット1本。塁上では他のランナーに指示を送るなどコーチらしさを発揮していたが、選手としてはまだまだエンジンがかかっていないようだった。

Toyama02ネット裏の座席は多くの観客でにぎわった

 そしてサプライズゲストの登場。この日のゲストは元巨人の中畑清氏。ジャイアンツ人気の低下が言われているが、ここ富山ではまだまだ巨人の人気は絶大で、氏の歌つきのスピーチはこの日一番の盛り上がりだった。さすが、現役時代からエンターテイナーとして鳴らした「絶好調男」。この日も、エンジン全開でスタンドを沸かせていた。始球式でも市長の投げるボールをレフト前にクリーンヒットするなど大いに観客を楽しませていた。
 試合の方は、なかなかの好ゲーム。序盤、中盤、終盤にお互いが点を入れて5対4という展開は、一番観るものにとって面白いゲームだろう。6回裏にはついにリーグ第1号のホームランが、信濃・松橋から出た。無人のレフトスタンドにはねたホームランボールは、場内アナウンスの制止にもかかわらず外野に入り込んだ子供の手に渡ったようだが、記念すべきリーグ初ホームランのボールを確保しておかなくていいのだろうか? などと変に心配してしまった。

 せっかくの好ゲーム、おまけに日本アルプスを望むこのすばらしいスタジアムでの観戦を途中で引き上げるのは忍びなかったが、この日もう1試合組まれている金沢でのナイトゲームを目にすべく、9回表途中に球場を後にした。この球場での春のデーゲームはぜひお勧めなので、みなさん足を運んで欲しいと思う。
 最後に球場を出る際耳にした。地元少年野球団が歌っていた応援歌を紹介します。こういう応援、実にローカル色が漂っていていい。今後もトランペットなど使わないで続けて欲しいものだ。
「大きな(大きな)ホームラン(ホームラン)、立山の(立山の)向こう側へ(向こう側へ)、ぐんぐん伸びて(ぐんぐん伸びて)、見えなくなった(見えなくなった)」かっ飛ばせ、サンダーバーズ。

(取材・文/石原豊一)

2007-05-12

北信越BCリーグ開幕戦観戦記

 今年からスタートした北信越BCリーグ。4月28日の開幕戦の模様を『野球小僧』の「ワールドベースボールレポート」でおなじみのライター・石原豊一氏が観戦記としてまとめてくれました。現地の生の雰囲気を交えた貴重なレポートをお届けいたします。

開幕、北信越BCリーグ

Playball 4月28日、それは北陸地方の野球界にとって記念すべき日となった。この「野球不毛の地」に始めてプロ野球リーグが誕生したのだ。四国アイランドリーグに続く日本第2の独立リーグ、北信越BCリーグがこの日、新潟・三条と長野で産声をあげた。

4月28日 開幕戦 新潟0-9富山

 午後1時、東三条駅。新潟から電車で1時間のこの町の中心駅は、いかにも田舎の駅といった感じで、土曜とあって人もまばらだった。
 朝まで降っていた雨はやんではいたが、空を見ると今にも一雨きそうな感じ。駅でレンタサイクルについて尋ねると、全部貸し出しているとのこと、市民球場までは歩くと40分はかかりそうなので、バスで行くことにする。駅を出てすぐ左手の待合所へ足を運ぶと、野球観戦者らしき人が数人、球場までのアクセスについて切符売り場のおばちゃんに聞いているところだった。
 なんと地元バス会社は、BCリーグのために球場までの臨時バスを出すらしい。サッカー、バスケットと地域密着のプロスポーツを育て挙げた新潟、この野球リーグに対しても地域ぐるみで盛り上げようという姿勢を感じる。
 バスを待っていると、小学生らしいグループが地元チーム、アルビレックスの話をしている。無論選手の名など知ってはいないが、とにかく新潟のチームを応援しようと、初めて見る「プロ野球」に胸をわくわくさせていた。

 新幹線の駅発のバスは5分ほど遅れて到着。遅れるというので、球場へ向かう乗客が殺到しているのかと思っていたが、バスはガラガラ。我々を乗せてちょうど座席が埋まる程度だった。リーグ当局は観客5000人を見込んでいるらしいが、本当にそんなに集まるのだろうか? 同じ独立リーグのアイランドリーグは1000人に満たない観客しか集められていない。開幕戦とは言え、この天気。しかし、そんな心配が杞憂であったことは、すぐにわかった。球場に近づくにつれ、バスは速度を緩める。渋滞。山間の球場への一本道には車の列ができていた。
 球場の周囲の駐車場は満杯。内野正面のチケット売り場へと急ぐ。場内では開幕セレモニーが始まっているらしく、アナウンスが響き渡っている。球場の周りは人、ひと、ヒト。チケットブースだけでなく、スタンド前に出ている屋台にも列ができていた。屋台はアイスクリーム、カレー、ラーメンに地元の黒豚の串焼きに五平餅。祭りの雰囲気が漂う。

Out_of_stand観客数は4538人。場外では屋台に並ぶ人の列もできた

 チケットは3種類、内野指定1500円に自由1000円。この新潟のホームゲームのみ外野席が開放されていてこれは500円。おまけに予約制のフィールドシート5000円也まである。私は内野自由を購入、チケットにはチームの看板選手、世界を股にかけたマイナーリーガー根鈴選手の写真が入っていた。
 この日の観客は4538人。リーグの見込み5000人にはわずかに届かないものの、天候を考えれば上々の出来だろう。この三条市民球場のキャパは14800人。外野席にはちらほらしか入っていないので、内野スタンドは見たところ7割方埋まっているように見える。フィールドには新潟、富山の選手が整列しており、セレモニーが行われていた。
 セレモニーのクライマックスは来賓による始球式。地元市長や知事、リーグアドバイザーの漫画家・水島新司氏、そしてサプライズゲスト柔道家・吉田秀彦さんがひとりずつ捕手役の新潟・後藤監督にボールを投げる。朝方までの雨でぬかるんだグラウンドで泥にまみれながら後藤監督は来賓のワンバウンドのボールを受けていた。
 それはともかくそのぬかるんだフィールドが気になる。セカンド、ショートの守備位置は田んぼのようになっている。セレモニーはいいけど試合はできるのかいな?
 その不安は的中した。試合開始予定時間10分前にセレモニーは終了。来賓の退場とともにグラウンドキーパーが5、6人整備を始める。こんな人数で間に合うはずがなく、試合開始は14時40分になるとのこと。それでも両軍の選手たちは外野に出てアップを始めた。

 それにしてもだ、これだけの観衆を待たせていいのだろうか? これからファンをしっかりつかんでいかねばならないときにこの試合運営には首をかしげてしまう。数10キロ離れた新潟では朝から高校野球が行われている。この日は開幕日ということで、来賓やマスコミなどの対応にスタッフも追われていたのだろうが、一番大事なのはファンなのではないだろうか。
 前の日から内野にシートをかぶせるなどの対応や、朝からの整備という選択肢はなかったのか。そもそも試合開始時間を守るためにはセレモニーと並行して整備をすべきではないか。このあたりは少々辛口ではあるが、素人運営といわれても仕方がない。
 この日のグラウンド状態が、5、6人が半時間やそこらの整備で済むものでないことは誰の目にも明らかだった。案の定、試合開始はさらに遅れ、結局ほぼ2時間遅れの15時47分になった。辛抱強く待っていてくれた新潟のファンも、2度目の延長のアナウンスにはブーイングと野次で返していた。
 今日の試合には県内のかなり遠いところから来ていた人も多いはずである。試合開始までに少なからぬ人達が帰ってしまったのは実に残念であった。おまけに試合開始30分前から中継していた地元TV局の中継は、肝心の試合を中継できずに番組を終えてしまった。これには解説に来ていた四国アイランドリーグコミッショナーの石毛氏も苦笑していた。

Graund悪天候の中、選手もグラウンド整備に参加。ようやく試合開始のメドがたった

 結局、ドロドロのグラウンドの復旧には選手も駆り出され、やっと試合ができる状態になったと思ったら、選手の再ウォームアップ。それが終わってようやく試合開始か待っていると、ライン引きが完了していない有様。このあたりの試合運営は今後の課題であろう。
 この開始の遅れは、試合にもろに影響した。両軍ともピッチャーが不安な立ち上がり。特に新潟の先発藤井は2回までに6点を失った。制球が定まらない上、地元開幕で緊張の見える野手陣に足を引っ張られる形で試合の主導権を富山に奪われてしまう。
 野手では特に三塁手の野原の動きが悪かった。三遊間のゴロやバントに対して足が全く動かない。グランド状態は確かに悪かったが、これは「プロ」である限り言い訳にはならない。それでも初回最後のバッター町田のバットをへし折ってピッチャーライナーに打ち取ると場内からは歓声が沸いた。中盤になると落ちついたが、時すでに遅しだった。
 一方の富山の先発小園は悪いなりも低めのスライダーを活用し、序盤をなんとか切り抜け、中盤以降は安定したピッチングで終わってみれば3安打完封だった。
 スタンドのファンは待ちに待った「おらが町のプロ野球チーム」の戦い振りを実に楽しんでいた。ミスをした選手にも「これから、これから」と暖かい声がかけられる。3回裏の新潟の主砲根鈴の大飛球は結局センターフライに終わったが、スタンドのファンは大きな歓声と拍手を送っていた。
 試合は中盤落ち着いたが、序盤の6点で勝負は決まってしまった印象だった。5回になると多くの人が家路についた。私も翌日の富山での試合に備え、試合途中に席を立たざるを得ず後ろ髪引かれる思いでスタジアムを後にした。

(取材・文/石原豊一)

2007-01-25

北信越BCリーグ(ベースボール・チャレンジ・リーグ)ドラフト・結果速報

 四国アイランドリーグに続き、今シーズンより新たにスタートする独立リーグ・北信越ベースボール・チャレンジ・リーグ(以下、北信越BCリーグ)。その名称には“リーグに関する全員が、野球を通じて力いっぱいチャレンジする”という思いが込められています。本日1月25日東京で行われたドラフトでは、昨年末のトライアウトで合格した98名の選手のうち、3名の辞退者を除く95名の選手が新潟アルビレックス、信濃グランセローズ、富山サンダーバーズ、石川ミリオンスターズの4チームに振り分けられました。それでは、さっそくそのドラフト会議の結果を報告したいと思います。

Bcl新潟アルビレックス監督で元巨人の後藤孝志氏(前列中央)と今日の夢の扉が開いたBCリーガーたち

▼地域密着型ドラフト!
 ドラフトの冒頭では富山と新潟でそれぞれプレーイングコーチを務める宮地克彦(元ソフトバンク)根鈴雄次(昨年はオランダリーグ所属)が登場。プレーイングコーチを置かない信濃と石川にはそれぞれ2名の自由獲得枠が与えられました。プレーイングコーチの紹介に引き続き行われたのが、地元枠選手の紹介。今回のドラフトで特徴的なのが新潟、長野、富山、石川の各県出身者はあらかじめ地元枠として地元のチームに配属されるという点です。新潟10名、信濃11名、富山7名、石川5名の選手が地元枠として各チームに配属されました。地元枠選手の紹介が終わると信濃と石川による自由獲得枠選手の発表。抽選で先に指名権を得た石川が自由獲得枠で深澤李生捕手(専修大)を指名。信濃は給前信吾投手(横浜商大高)を指名しました。2巡目では石川が植木孝外野手(豊田鉄工)、信濃が泰楽康之内野手(青森大)を指名しました。以降は投手、捕手、内野手、外野手とポジション別に毎回、選択順を決定する抽選を行った後、ウエーバーによる指名が行われました。こうしてトライアウトに合格した95名と宮地、根鈴の両プレーイングコーチは4つの球団に配属されました。現段階での指名選手は新潟、信濃が25名、富山は24名、石川は23名となっています。辞退者の関係で25名に達していない富山と石川は補欠合格者21名の中から不足選手を補うこととなりました。

▼ドラフト結果はコチラ!
 以下が各チームの指名選手となっています。各選手が球団と契約を行うと北信越BCリーグの第一歩が踏み出されます。今回、指名された選手が一人でも多くプロ野球の世界に飛び込むことを期待したいと思います。みなさん、北信越BCリーグに注目しましょう!!

◎新潟アルビレックス
監督 後藤孝志
コーチ 根鈴雄次(兼選手)
コーチ 本間忠
▲投手
・筒井裕人(バイタルネット)
・鴨下瞬(茨城ゴールデンゴールズ)
・宮本晋伍(ウエルネス彩ベースボールクラブ)
・渡辺裕央(日体荏原高)
・谷合伸郷(ウエルネス彩ベースボールクラブ)
・矢野新祐(ウエルネス彩ベースボールクラブ)
・藤野仁(茨城ゴールデンゴールズ)
・徳田一平(京都ファイヤーバーズ)
・藤井了(オランダリーグ)
・前田真宏(愛媛マンダリンパイレーツ)
▲捕手
・米田和弘(旭川大)
・武田翔平(松戸B.C.TYR)
・柳田博基(京都ファイヤーバーズ)
▲内野手
・阿部康生(北陸大)
・山田悠斗(早稲田大)
・登石卓(茨城ゴールデンゴールズ)
・山野辺寛明(西多摩クラブ)
・伊藤健(仙台大)
・大野武洋(日本ベースボールセキュリティ)
・野原良平(岩手21赤べこ野球軍団)
▲外野手
・頓所大輔(日本文理高)
・木ノ内正樹(野田サンダース)
・笠原賢治(東北福祉大)
・小西翔(慶應義塾大)
・根鈴雄次(オランダリーグ)

◎信濃グランセローズ
監督 木田勇
▲投手
・西川盾哉(東海大三高)
・藤原航真(創造学園高)
・小林史也(Uリーグ沖縄)
・梅沢敏明(長野工高)
・給前信吾(横浜商大高)
・下條剛(Uリーグ沖縄)
・小坂英(ZERO硬式野球クラブ)
・佐藤広樹(安田学園高)
・涌島稔(高知ファイティングドッグス)
・吉田章彦(中山クラブ)
▲捕手
・松橋良幸(高知ファイティングドッグス)
・飛田規光(茨城ゴールデンゴールズ)
・平泉悠(東京LBC)
▲内野手
・市川貴之(松本大)
・荻原英生(帝京大)
・中島裕之(高崎経済大)
・泰楽康之(青森大)
・平野路尚(金港クラブ)
・久米直光(徳島インディゴソックス)
・今井政司(茨城ゴールデンゴールズ)
▲外野手
・大村有三(NTT信越クラブ)
・大橋雅俊(NTT信越クラブ)
・町田孝行(東海大三高)
・坂田一万(成城大)
・渡辺大輝(茨城ゴールデンゴールズ)

◎富山サンダーバーズ
監督 鈴木康友
コーチ 横田久則
コーチ 宮地克彦(兼選手)
▲投手
・五艘祐一(富山ベースボールクラブ)
・小園司(阪南大)
・大滝紀彦(広島国際学院大)
・久保井雄慈(愛媛マンダリンパイレーツ)
・中村竜也(菊華高)
・吉野賢也(千葉熱血メイキング)
・田中孝次(平成帝京大)
・生出和也(徳島インディゴソックス)
・萩原淳由(NOMOベースボールクラブ)
▲捕手
・竹内哲司(愛知ベースボールクラブ)
・廣田嘉明(徳島インディゴソックス)
・杉野篤人(甲賀健康医療専門学校)
▲内野手
・草島諭(富山国際大)
・太田優士(茨城ゴールデンゴールズ)
・野原祐也(国士舘大)
・辻本聡(NOMOベースボールクラブ)
・馬場健太(徳島大)
・尾崎亮太(佐世保ドリームスターズ)
・川端英治(九州共立大)
▲外野手
・宮地克彦(ソフトバンク)
・永森大士(富山ベースボールクラブ)
・塚本雄一郎(三晶技研)
・井野口祐介(平成国際大)
・町田一也(NOMOベースボールクラブ)

◎石川ミリオンスターズ
監督 金森栄治
コーチ 長冨浩志
コーチ 仲居殉也
▲投手
・蛇澤敦(NOMOベースボールクラブ)
・一川幸司(NBC金沢)
・山下英(名古屋学院大)
・高田泰史(金沢大)
・下村信(鳥取キタロウズ)
・都卓磨(茨城ゴールデンゴールズ)
・木村陽彦(札幌ブルーインズ)
・江藤直也(姫路獨協大)
・野中祐志(中部大)
・笹村浩介(NOMOベースボールクラブ)
▲捕手
・深澤李生(専修大)
・日下広太(順天堂大)
▲内野手
・山出芳敬(茨城ゴールデンゴールズ)
・内村賢介(JFE西日本)
・座親孝一(専修大)
・町田勝司(徳島インディゴソックス)
・掘聖治
・佐野憲一(福井工業大)
▲外野手
・植木孝(豊田鉄工)
・大久保諭(名城大)
・松岡慎弥(阪南大)
・三宅翔平(徳島インディゴソックス)
・小薗俊也(高知ファイティングドッグス)

※()内は球歴ではなく、最終的に所属していた高校、大学、会社名

★北信越BCリーグ公式HP
http://www.bc-l.jp/

(編集部・池田)

Podcast版 野球小僧