北信越BCリーグ開幕戦観戦記《最終回》
北信越BCリーグ開幕戦の観戦レポート。4回目の今日はいよいよ最終回となりました。
4月28日の開幕戦(http://kozo.boxerblog.com/kozo/2007/05/post_4ba1.html)、翌4月29日の富山の試合(http://kozo.boxerblog.com/kozo/2007/05/post_b78e.html)、同日夜の石川での開幕戦(http://kozo.boxerblog.com/kozo/2007/05/post_5702.html)と3試合に渡って現地の雰囲気をレポートしてきた石原豊一氏。
最後はまとめの回として、過去海外の野球の試合も多く見てこられた石原氏独自の視点も踏まえながら、北信越BCリーグに関する今後の課題を綴っております。野球ファン必見のレポートをどうぞ。
北信越BCリーグ、これからの課題
独立リーグの運営には観客の動員が、観客の動員には魅力ある選手の存在がカギを握る。選手の一層の奮闘を望みたい |
開幕後、連日4000人近くの観客を集め大盛況のBCリーグ。この人気を維持するには、まだまだ課題も多い。先述の試合運営もそうだが、何と言っても「プロ野球」である限り、ファンは選手のプロフェッショナルなプレーを期待している。その点では、この開幕シリーズを見た限りでは、今後いっそうのレベルアップが必要と感じた。
失策数は開幕試合が3、2日目の富山での試合が4で、金沢が3。この数字はプロとしてはあまりに多すぎる。記録に残っているエラーだけでなく、お粗末なプレーも多かった。
幸い、開幕後、ゴールデンウィーク中は各球場目標の5000人近い観客を集めていた。まずは招待券を配ってとにかく球場に来てもらう、という作戦は成功しているといって良い。この動員は観客数の低迷に悩む先行の四国アイランドリーグを大いに参考にし、事前に地元との連繋に力を入れた結果と言えるだろう。
しかし開幕後は、地域スポーツの盛んな新潟こそ健闘しているものの、他の球場の観客数が軒並み1000人を割るなど、早くも観客見込みの甘さが露呈している。これが続くようだと、スポンサーの減少などリーグ存続が危ぶまれることにもなりかねない。
ただ、とにもかくにも、四国アイランドリーグ発足に続いて北信越BCリーグが船出を迎えたことで、日本にもようやく「マイナーリーグ」が市民権を得た感じはしてきた。
かつては、NPB球団の中にも2軍を地方に移して独立採算にしようという動きがあったが、採算のめどが立たず名称の変更だけにとどまった。今では1軍から独立し得ない中途半端な存在になっている。
このあたりの違いは、要は実行力の違いだろう。NPBは2軍の運営にどれだけの経営努力をし、地道な営業活動をしてきたかについては疑問符がつく。今後は、NPBの「3軍」あるいは若手の混成軍が、このような地方リーグに参加する方策も考えていいのではなかろうか。
色々な意味においてユニホームをドロドロにする野球を
開幕こそ内野席を埋めるほどの観客がおとずれたが、その後は各地とも苦戦中。地元ファンが生活の一部として根付くことに期待(写真は金沢での地元開幕戦) |
最後に私がもう10年以上も前にあるアメリカの田舎町のファンから聞いた台詞を紹介しておこう。ここに独立リーグ存続の鍵が隠されているような気がするからだ。
ワシントン州、シアトルとカナダのバンクーバの間にベリンハムという小さな港町がある。アラスカへの船が出ると言う以外何もない田舎町に、かつてショートシーズンAクラスのジャイアンツのファームチームがあった。
20勝投手ラス・オーティスやツインズのクローザー、ジョー・ネイサンがここで腕を磨いていた。ネット裏の小さなスタンドとベースまでの簡易スタンドがあるだけのスタジアムでの観戦は、暗い照明にこの地方特有の寒さで決して心地よいものではなかった。
半袖に短パン姿で凍える私に上着をかけてくれた中年のファンと、試合後バスターミナルへ歩いて帰る途中、私が「マリナーズの試合には行かないのか?」と質問すると、彼はこう答えた。
「いかねえよ。あんな金にいじきたないやつらのプレーよりも、ここの選手の方がよほどはつらつとしている。メジャーの試合でユニホームを汚して球に食らいつくやつらがいるか? この町の若いやつらはいつもユニホームをドロドロにしているじゃないか」
1990年代に入って、アメリカではMLBを頂点とする「オーガナイズド・ベースボール」に属しない独立のプロリーグが興り、これがマイナーリーグブームともいうべき現象を巻き起こしている。テレビの普及により、一度は存亡の危機にたたされたマイナーリーグが、今ではスタンドいっぱいのファンをうめるようになったのだ。
このファンの台詞は極端にしても、全米の多くのファンは現在では「ハレ」の野球、MLBを休日など特別な日に楽しみ、普段着の「ケ」の野球である地元マイナーリーグの野球を1日の終わりに楽しんでいる。
日本にもいつかこのような風習が本格的におとずれる日が来ることを夢見て、北信越BCリーグに希望を託したい。
(取材・文/石原豊一)

独立リーグの運営には観客の動員が、観客の動員には魅力ある選手の存在がカギを握る。選手の一層の奮闘を望みたい
開幕こそ内野席を埋めるほどの観客がおとずれたが、その後は各地とも苦戦中。地元ファンが生活の一部として根付くことに期待(写真は金沢での地元開幕戦)
石川での地元開幕戦はナイトゲーム。「プロ野球」という雰囲気が最も実感できた
石川対新潟の地元開幕戦は終盤に白熱。追いすがる石川を新潟が振り切る形で勝利した
外野席の向こうには絶景が広がる富山アルペンスタジアム
ネット裏の座席は多くの観客でにぎわった
4月28日、それは北陸地方の野球界にとって記念すべき日となった。この「野球不毛の地」に始めてプロ野球リーグが誕生したのだ。四国アイランドリーグに続く日本第2の独立リーグ、北信越BCリーグがこの日、新潟・三条と長野で産声をあげた。
観客数は4538人。場外では屋台に並ぶ人の列もできた
悪天候の中、選手もグラウンド整備に参加。ようやく試合開始のメドがたった
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