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2008-05-21

谷上史朗レポート ナニワのゴジラ奮闘記-第77回-

080521_okadatop 2006年4月1日より始まったオリックス・バファローズ岡田貴弘選手レポート。本日で77回目です。縁起のいい数字ですね。

 大阪・履正社高校時代、その風貌やスケールの大きな打撃がヤンキース松井秀喜選手を彷彿とさせることから、「ナニワのゴジラ」という異名がついた岡田選手。
 2005年の高校生ドラフトで、オリックスに1巡目で指名されて入団。2年目の昨年は、シーズン前半こそ不調だったものの、北京で開かれたオリンピックプレ大会での活躍を契機に後半復調しました。
 そして、期待がかかった3年目。開幕は2軍スタートとなったものの、ウェスタンリーグでは出だしから好調。明らかに風の向きが変わり始めています。
 そんな「ナニワのゴジラ」が奮闘する姿を、高校生の頃から岡田選手を取材し続けてきたライター・谷上史朗氏の視線でレポートいたします。今回はどんな内容になっているでしょうか?

      

コリンズ監督、電撃辞任

 5月21日の夜、遅い取材が終わりタクシーに乗っていると、ラジオからのニュースに驚いた。
「プロ野球オリックスバファローズのテリー・コリンズ監督が辞任することが21日、オリックス球団から発表されました。コリンズ監督は…」

Collins5月21日の阪神戦を最後に辞任することを発表したコリンズ監督

 後半部分は電波状態が悪くなりよく聞こえなかったが、とにかくコリンズ監督が辞めるというのだ。その瞬間、僕の頭には、「なぜ?」「何があった?」「この時期になぜ?」と「?」「?」「?」がグルグルと回った。辞任というからにはコリンズ監督からの申し出なのだろう。しかし、よくある体裁を繕っての「辞任発表」ではないのか、と思ったり、辞任せざる得ない状況に持っていったのかも…、とか。あるいは、何かのきっかけでコリンズが爆発しての突発的な辞任では…と、想像は膨らんだ。

 しかし、とにもかくにもコリンズ監督が辞める。
 辞任の背景に頭を巡らせたあとに浮かんだのはやはり岡田のことだ。この一件で岡田はどうなるのか。原稿を書き始めた段階ではスポーツニュースも見ていないので「その後」の状況がわかっていないが、どうやら当面は大石大二郎ヘッドコーチが監督代行という形をとるようだ。
 大石ヘッドは岡田のプロ1年目にサーパスの監督を務めていた人で、ルーキー岡田を先発で起用し続けた“実績”もある。ただ、その後の岡田を大石ヘッドがどう見ていたかはわからない。それでも、昨年に続き今年もここまで1軍出場がなかった岡田にとって、今回の監督交代が状況を今より悪くさせることはないだろう。同じく今回の一件に目を輝かせている若手は多いだろう。次はそこからどう抜け出すかだ。
 ひとまず、コリンズ監督辞任に関する話はここまで。ここからは、元々頭から書く予定だった原稿をお届けしたい。

      

一輝が1軍で見せた姿を岡田はどう見たか

Ikki20日に行われた1軍の阪神戦で逆転タイムリーを放ち、お立ち台に立った一輝(写真はサーパスでプレー中のもの)

〈この表情はファームでは出ない…〉と、思った。
 5月20日、サーパスは高知ファイテンドッグスと交流戦を行なうことになっていた。
 当初、この試合を観戦する予定にしていたのだが、前日の夜に別件取材が決まり、観戦を断念。その取材を終えて夜、家に戻ってつけたテレビで、今年5年目を迎えた一輝の渾身の表情を見た。
 1軍が交流戦をスタートした初戦の阪神戦。試合は8回表に入るところだったが、そこで試合を振り返ってのVTRが流れ、一輝の活躍を知った。2-3と追い上げて、なお2死満塁のチャンス。ここで6番サードで今季初先発の一輝がウイリアムスからセンター前へ逆転タイムリーを放ったのだ。
 決して会心の当たりではなかった。しかし、ピッチャーの足元から二遊間のちょうど真ん中を抜けていった打球に一輝のこれまでの4年間を思った。
 〈抜けろ!〉画面からも伝わる必死の形相で一塁へ駆け出し、打球が抜けたことを確認すると「ヨッシャー!」の雄たけびと共にガッツポーズ。VTRを見ながら僕もジワッときた。
 入団以来、ファームで一輝と多くの時間を共に過ごしてきた岡田は、この活躍をどこで見たのだろう。そして、どう見たのだろう。1軍でのスタメン出場、お立ち台でのヒーローインタビュー、そしてあの表情を…。

       

平田良介(中日)の1軍起用にみる落合監督の期待

 もう1人、一輝の直後に1軍昇格を果たした選手にも、岡田のことが重なってきた。中日の平田良介だ。一輝から遅れること3日、16日にこの昇格を聞いた時、僕は驚いた。そしてまた、「やっぱり落合監督は違う」と思った。

Hirata昨年の日本シリーズなどで活躍した平田良介。今年は出遅れたが、ようやく1軍に昇格してきた

 平田はここまでウエスタンリーグで打率.181、規定打席到達者としては最低の打撃成績となる23位だった。それが1軍昇格で、即「7番センター」でスタメン出場なのだから、それは驚くというものだ。
 チーム事情はそれぞれにある。平田には昨年ポストシーズンでの活躍という実績もある。肩もかなり復調し、守れる強みがある。中日の投手陣を考えれば確かにこれは大きいだろう。一方で平田より成績を残しながら1軍に上がれない若手もいるわけで、そのあたりはどうなのか、という考えもあるだろう。
 ただ、落合監督の起用にひとつ思うのは、ファームでの実績と1軍での働きはイコールではないという点だ。また、〈プロに入って来たヤツはそれなりの力はみんな持ってる。力を出せる環境を作って起用するのが俺の仕事〉といわんばかりの面も感じる。
 そしてもうひとつ。落合監督は平田に対して、相当の期待を持っているということだ。〈こいつを一人前にしたい〉〈このチャンスをモノにして上がって来い!〉という思いを感じる。

 対して、これまでの岡田にはそういう期待を強く感じる場面がなかった。
 今季も出足から好調で、一時の高打率からは落ちたものの現在2割7分台をキープ。他のチームの若手の状況を見ていれば、1軍でチャンスをもらってもまったく不思議はない位置にいるのだ。ましてや、オリックスはリーグ最低打率は脱したとはいえ、名ばかりの実力者が揃う打線が一向に火を噴かないままなのだから。ローズはともかく、カブレラ、濱中あたりの使い方は考える時期にきているだろう。
 このあたりが新首脳陣となってどうなるか。是非、大石監督代行にはチームを作り直してほしい。まだまだ勝負にはこだわりつつも、一方では来年を見据え、若手をどんどん使ってほしい。

       

#54の次は#55だ!

 そして、当の岡田本人はというと、前回更新以降の成績は下記の通り。

13日 対阪神(鳴尾浜)5打数1安打 1三振
14日 対阪神(鳴尾浜)3打数1安打 1三振
15日 対阪神(鳴尾浜)3打数1安打 1三振 1四球
16日 対ソフトバンク(北神戸)3打数1安打 2三振
17日 対ソフトバンク(北神戸)3打数1安打 1三振 1四球 
18日 対ソフトバンク(丹波)2打数1安打 1四球
20日 対高知ファイティングドッグス 出場なし

Oishidaijiro監督代行の任に着いた大石大二郎氏。2軍監督時代は岡田をファームで辛抱強く起用し続けた

 13、14日は5番、15日は3番で16日からは7番。爆発といった数字ではないが、しぶとくヒット1本、四球1つを選んでいる印象だ。ここまでの17四球は桜井広大(阪神)と並びリーグトップ。出塁率の.375も新井良太(中日)に次ぐ2位。
 また、18日の1安打は前回の対戦で抑えられた新垣渚から放ったレフト前ヒット。一報をメールで知らせてくれた「岡田貴弘選手を応援する会」のYさんに、僕は「これも成長!」と書いて返信したが、地味ではあっても小さなこと1つ1つに成長を感じる場面が多くなった。
 打率もグッと落ち込んだ前回更新時より持ち直した。しっかり力を蓄え、さあ、仕切り直しだ。
 54(一輝の背番号)の次は55、今度こその爆発に期待したい。

       

■2008年ファーム成績(5月21日現在)
32試合 109打数30安打 2本塁打 12打点 15四死球 27三振 打率.275(打撃成績6位)

(取材・本文/谷上史朗)

このシリーズは毎月1日、11日、21日頃に更新しています。次回更新は6月2日の予定です。

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