谷上史朗レポート ナニワのゴジラ奮闘記-第75回-
2006年4月1日より始まったオリックス・バファローズ岡田貴弘選手レポート。本日で75回目の更新です。
大阪・履正社高校時代、その風貌やスケールの大きな打撃がヤンキース松井秀喜選手を彷彿とさせることから、「ナニワのゴジラ」という異名がついた岡田選手。
2005年の高校生ドラフトで、オリックスに1巡目で指名されて入団。2年目の昨年は、シーズン前半こそ不調だったものの、北京で開かれたオリンピックプレ大会での活躍を契機に後半復調しました。
そして、期待がかかった3年目。開幕は2軍スタートとなったものの、ウェスタンリーグでは出だしから好調です。
そんな「ナニワのゴジラ」が奮闘する姿を、高校生の頃から岡田選手を取材し続けてきたライター・谷上史朗氏の視線でレポートいたします。今回はどんな内容になっているでしょうか?
本人曰く「絶好調から絶不調」も、試合後の打撃練習では柵越えを連発 |
今の岡田の調子のほどは?
「絶好調から絶不調です」
岡田からこんなセリフを聞いたのは4月30日の神戸サブ球場。関西メディカルスポーツ学院との交流戦が行なわれた試合前だった。バッティング練習を終え、ベンチ裏の通路で軽食を取っていた岡田に話を聞けたので「どう?」と向けたところ、自嘲気味にこう返ってきた。
言葉通り、前回の更新以降の岡田は、4試合で12打数1安打。四死球4つに、三振も1つと少なめだったが打率は急降下で一気に3割を割ってしまった。そこで状態を確認すべく30日に観戦に向かったのだが、残念ながらこの日は欠場。ただ、アクシデントがあったわけではなく、ファームでも出番の少ない選手に経験を積ませようという首脳陣の考えによるものだ。
しかし、この日は僕の到着が遅く、試合前のフリーバッティングを見ることもできなかった。そこでちょっと困っていたところ、まず本人に少し話を聞くことができた。冒頭のひと言以降はこんな感じで続いた。
谷上 絶好調からいきなり絶不調って。ちょっと早いなあ。
岡田 いや、(好調が)持った方ですよ。
谷上 自分でそんなこと言うて…。でも、開幕から1カ月。確かにこれまで2年にない出足ではあったよな。
岡田 そうですね。
谷上 でも、好調だっただけに、その間に1軍に上がりたかったという気持ちも強かった?
岡田 それはありました。(1軍の首脳陣が)見てる前でも打ったんですけどね、なかなか…。このまま今年は上がられへんのちゃうかって思ったこともありました。
谷上 見てる方も期待してたけど。でも、まだ始まったばっかりやから、またここから。
岡田 今日の試合前に小川さん(博文・育成兼野手コーチ補佐)にいろいろ見てもらって、ちょっといい感じになったかなというのはあったんです。だから試合でどうかです。
谷上 再浮上の兆しは感じてる、と。1軍の選手も状態がいいわけじゃないんやから頼むで。
岡田 そのつもりで頑張ります。
小川コーチの力強い岡田評
岡田を指導する小川博文コーチ。現役時代は小柄ながら一発もある勝負強い打者としてオリックス黄金時代に活躍 |
実はこの前日にラロッカ、北川博敏と共に長田昌浩が1軍へ上がっていた。成績的に見れば、規定打席不足で打率も.241の長田を上げるなら岡田を…、と思いたくなるが、セカンドというポジションとの絡みはあったのだろう。ただ、こういう昇格はやはり岡田にとって面白いはずもない。その心中は理解できる。
しかし、ちょっと元気のなかった本人のセリフとは逆に、小川コーチからは力強い言葉も聞いた。
小川 絶対、1軍に上がる時が来ます。僕が決めることじゃないですけど、必ず来るし、僕は早く勝負させてやりたいと思ってます。
さらにこんな言葉も。
小川 長いシーズンでは調子のいい時も悪い時もある。その結果に一喜一憂するんじゃなくて、1日1日やるべきことをしっかりやっていくこと。でも、一方でファームとはいえ4番も打ってるんだから、成績が出ていれば余計相手の攻めも厳しくなる。その中で結果を求めていかないといけない。自分に求められているもの、期待の大きさをしっかり感じてやってほしい。
試合後の特打ちでは絶好調
サーパスの大勝(9対0)で終わった試合への出場はなかったが、試合後の特打ちに岡田が現れた。これは僕にとってラッキーで木元邦之、小瀬浩之と3人で回った打ち込みをじっくり見ることができた。そしてこの時の内容が不振などどこの話? というくらいに良かった。
数えていなかったが、かなりの割合で打球はオーバーフェンスし、その飛び方がまた良かった。あっけに取られて見ていると、小川コーチも
「スゴイ! 今日は完璧です!」
と嬉しそうに歩み寄ってきてそう言った。
そこから2人で快音連発のバッティングを見ながら、再び小川コーチに話を聞いた。
試合前に岡田が「小川さんにいろいろ見てもらって」と話していた部分について聞くと、小川コーチは「アイツの“ここ”を見て下さい」と、自らの左股間節部分を指した。
打者のタイプにもよるが、今の岡田(右)は股関節に体が乗っかっているため、左足の付け根にシワが寄っているのが分かる(左は木元邦之) |
「投げるのも打つのも一緒。大事なのは股間節で、岡田の場合なら左の股間節。テークバックの時に軽くねじってギュッと体を入れて、左の股間節に乗せてから打ちに行く。この形ができれば間も持てるし、自分の形でスイングできるようになる」
股間節の重要性については昨秋、岡田本人から小川コーチの指導について尋ねた時に耳にしていた。そういう意味では継続的に取り組んでいるのだが、「何回も言って、体で覚えていかないといけない」(小川コーチ)ということだ。
ちなみに小川コーチは現在「育成コーチ」という肩書きになっており、チームの遠征には同行しない。岡田にとっては常に小川コーチが同行することが望ましいと思うが、こればかりは仕方がない。小川コーチの教えをしっかり頭に叩き込み、「いい形」を身につけていくしかない。
特打ちで並んで打っていた木元の形と比べると小川コーチの指摘がよくわかった。木元には木元の形があるとして、木元の1本足は右足を上げて、すぐ下りる感覚があった。グッと入る形がないのだ。
一方、足上げの幅はかなり小さくなった岡田だが、上げた時に左股間節部分のユニフォームに深いシワが刻まれていた。見た目には微妙だが、それだけ体が絞られ、股間節に体重も乗っていることがよく分かった。
浮上のバロメーターは股関節
股間節ということで思い出すのは1月に神戸で合同自主トレを行なったイチローだ。あの時、イチローはアップで1本ダッシュをするたびに入念にストレッチを繰り返していた、そして、そのほとんどが股間節の柔軟性を意識したものだった。似た動きをした時の岡田と比べると柔軟性の違いは歴然だった。
イチローも決して体自体は柔らかくなく、むしろ硬いと言われている。しかし、こと股間節に限れば柔軟性は抜群で、股間節を十分に使い切っているからあのキレもパワーも生まれるのだ。
比べて岡田はストレッチの動きなどを見てもまだまだ股間節が硬い。この柔軟性がバッティングに大きな影響を及ぼすとしたら…グラウンドでも寮でも時と場所を選ばず徹底して柔軟性を高める動きを繰り返してほしい。本人の目に止まるかどうかわからないが、もし、目にすることがあれば“あの時”を思い出してほしいという願いも込め、イチローとの自主トレ風景を掲載しておく。
浮上のポイント、バッティング安定のひとつのカギは股間節にアリ! あくまで僕の個人的意見に過ぎないが、遠からずという気はしている。
股関節のストレッチの際にはイチロー(左)と行った自主トレの時を思い出してほしい。ダッシュのたびにストレッチを行っていた姿は印象的だった |
今後も股間節の絞り、滑り、乗せに注目していきたい。
■2008年ファーム成績(4月30日現在)
20試合 71打数21安打 2本塁打 9打点 10四死球 15三振 打率.296(打撃成績10位)
(取材・本文/谷上史朗)
このシリーズは毎月1日、11日、21日頃に更新しています。次回更新は5月12日の予定です。

本人曰く「絶好調から絶不調」も、試合後の打撃練習では柵越えを連発
岡田を指導する小川博文コーチ。現役時代は小柄ながら一発もある勝負強い打者としてオリックス黄金時代に活躍
打者のタイプにもよるが、今の岡田(右)は股関節に体が乗っかっているため、左足の付け根にシワが寄っているのが分かる(左は木元邦之)
股関節のストレッチの際にはイチロー(左)と行った自主トレの時を思い出してほしい。ダッシュのたびにストレッチを行っていた姿は印象的だった![白夜書房: 中学野球小僧 2008年 07月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61%2BuecNNNVL._SL75_.jpg)
![: 野球小僧 2008年 06月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51sybqCzQEL._SL75_.jpg)


](http://ecx.images-amazon.com/images/I/11jA-0DbHmL.jpg)

「やっとわかってくれたか、左股関節なんですよ!」って気持ちです。
岡田君なら3割3分、30本打てます。
私のイチオシの長田君が、イマイチ調子が悪い。昨年は、大島コーチの打撃指導が凄く合ってた。
彼はカズ松井の大ファンでフォロワーだっただけに、駄目元でスイッチヒッターやらせてみると面白いと思いますが・・・。
投稿: シロートが言うのもなんですが | 2008-05-12 14:12