2006年4月1日より始まったオリックス・バファローズ岡田貴弘選手レポート。本日で74回目の更新です。
大阪・履正社高校時代、その風貌やスケールの大きな打撃がヤンキース松井秀喜選手を彷彿とさせることから、「ナニワのゴジラ」という異名がついた岡田選手。
2005年の高校生ドラフトで、オリックスに1巡目で指名されて入団。2年目の昨年は、シーズン前半こそ不調だったものの、北京で開かれたオリンピックプレ大会での活躍を契機に後半復調しました。
そして、期待がかかった3年目。開幕は2軍スタートとなったものの、ウェスタンリーグでは出だしから好調です。
そんな「ナニワのゴジラ」が奮闘する姿を、高校生の頃から岡田選手を取材し続けてきたライター・谷上史朗氏の視線でレポートいたします。今回はどんな内容になっているでしょうか?
開幕当初の好調の波は一度過ぎ去った。しかし、今年の岡田は悪いなりに結果を残している |
岡田は4番でしぶとく結果をつなぐ
まず、前回更新以降の岡田の成績から書いておくと以下の通り。
12日 阪神(甲子園)3打数1安打 1四球
13日 阪神(甲子園)3打数1安打
15日 ソフトバンク(京セラドーム)3打数2安打 1三振
16日 ソフトバンク(北神戸)3打数1安打 1四球 1三振
この間のサーパスは1勝3敗1分けと振るわなかったが、4番で出場を続ける岡田は決して好調ではないであろう中でもしぶとく数字を残している。
前回の更新でも書いたが、こういう状態の中で1本のヒットが出るかどうか、1つのフォアボールが選べるかどうかが大きいのだ。
それにしても、これだけ1軍が打てなくて、ファームに打っている選手がいるのだから、もっと積極的な入れ替えがあっていいと思うのだが…。
17日にラロッカのファーム落ちのニュースを聞いた時にも〈もしや…〉と思ったが、翌日に上がったのは牧田勝吾だった(21日には再び抹消)。ポジションの絡みで岡田が上がる時は外野かファーストを守る選手と入れ替わる可能性は高いのだろう。となれば突発的な故障者でも出ない限り“ライバル”は絞られてくる。彼らの成績を見ていくと、開幕から不振が続く濱中治(打率.185)、起用は増えながらもなかなか数字を出せない迎祐一郎(.143)、昇格初戦の2安打以降、音なしの古木克明(.182)、ポジションは異なるが同じ左バッターで結果の出ない木元邦之(.100)…と、不振者がズラリ。
もっとも、チーム打率が.218と上昇の気配が見えない1軍打撃陣を見ればほとんどのバッターが低打率であえいでいる。少しは当たり出したと言ってもカブレラの打率もまだ.202、結構頑張っている印象のあった下山真二でも.238。さらに内野陣に目を移せば、大引啓次.143、後藤光尊.177、阿部真宏.118…、と深刻な状況が浮き彫りになる。二遊間の選手は簡単に入れ替えることもできないのだろうが、坂口智隆、ローズ、日高剛にサブで村松有人、塩崎真を含めた5人以外、1軍の打撃陣はまったく打てていないのが現実だ。
オリックスの積極的若手起用化の声にはやや疑問
1軍では極度の打撃不振が続いている。ファームには岡田はもちろんのこと、一輝、吉良なども好成績を挙げているのだが… |
一方、サーパスに目を移せば、チーム打率の.270はリーグトップ。この高打率を支えているのが21日現在、打率339で打撃成績リーグ5位の岡田と、同8位で.321の一輝。あるいは規定打席不足ながら.350と、ここへ来てようやくバッティングが安定してきた吉良俊則といったところだ。
しかし、そういう結果を出している選手が極度の打撃不振に陥っている1軍に呼ばれることがない。「今年のオリックスは若手を使うようになった」という声をよく聞くが、僕はいつも首を捻る。
野手でいえば坂口、投手陣でいえば金子千尋、近藤一樹らの活躍がそう思わせるのだろうが、例えば坂口は去年も開幕スタメンに登場していた「1軍でやって当たり前のレベル」にあった選手で、プロとしては今年6年目。見方によっては中堅どころと言ってもいいほどだ。
また、近藤やその前後にあった高木康成や香月良太の先発起用も故障者続出でやむなくの処置だった。今のような状況の中、チームの起爆剤となるべく期待を込め岡田や一輝あたりをスタメン起用でもして初めて積極的な若手起用と言えるはずだ。他チームでは1軍昇格即スタメン、なんていう話を聞くが、オリックスはそういう起用がまずない。仰木さんの時代が懐かしい。
打撃主体のタイプとしては、岡田は走って守れる選手。1軍でもその効果に期待が持てる |
岡田の早期昇格を願う日々はまだまだ続く?
嘆いてばかりいても仕方ないので、気分を変えて岡田に関する数字を出してみた。
最近はメジャーの影響を受け、打率やホームラン、打点といった項目以外に打者を評価する向きが出てきた。その代表格が日本球界でも徐々にポピュラーになりつつあるOPSだ。
OPSとは出塁率と長打率を足した数値で、総合的な打者の評価の指針となると見られているものだ。岡田の場合、出塁率が.394(リーグ8位)で、長打率.508(5位)。一般的に1軍でこの数値が9割を超えると一流打者と言われるが、岡田はファームとは言え.902でリーグ4位。ちなみに上の3人は順に打率も3割を超え、この時期にして異例の8死球も効いている上村和裕に山本芳彦、松山竜平とオール広島勢だ。
岡田のOPS.902を強引にもパ・リーグのリーグ成績に当てはめると山崎武司(楽天)の1.185、ローズの1.074、ブラゼル(西武)の.920に次ぐ4位。1軍と2軍を比べてどうする、という声はもちろんだが、ファームとはいえ、これだけの数字を残しているということ。そして、そんな選手が、何度も書くが打撃不振にあえぐ1軍に上がれないことには、やはり、なんだかな…、と嘆きたくなる。
また、こういう数字とは別に、数字に見えない部分も強調しておきたい。
13日の甲子園のゲームがCS放送で中継されていたので録画して見た。すると、その中でこんなシーンがあった。
1点を追うサーパス8回表の攻撃。
先頭で打席に入った岡田は正田樹(阪神)からライト戦へ痛烈なライナーのツーベースで出塁すると、2死後、吉良の渋く1、2塁間を抜けるライト前ヒットでホームインしたのだ。1点差で前進守備を敷いていた阪神のライト・庄田隆弘が捕ったのは、通常ならセカンドの定位置の数メートルうしろといった場所だった。そこから強肩の庄田がワンバウンドでバックホーム。まさにホーム上は間一髪のクロスプレーとなったが、岡田の足が一瞬早く、さらに岡田の勢いで返球を弾き飛ばし同点のホームインを決めた。岡田の「足」が試合を引き分けに持ち込ませたわけだが、濱中や古木にカブレラ、ローズではあの当たりで1点は取れなかっただろう。
今年はまだ披露していない1軍のユニホーム。岡田がこの姿で登場する日を待っている |
ここでは何度も書いてきたが、少なくとも一発を売りにするようなタイプの中では岡田は足がある方だし、走ろうとする意欲も持っている。一塁での守りも含め、数値に表れない面でもチームに貢献できる選手なのだ。
16日の試合では北川が「3番ファースト」でファームの戦列に復帰し、また1人“ライバル”が増えた格好だ。こちらは早々に1軍へ上がっていくのだろうが、名前や過去の実績にとらわれず、コリンズには思い切った、そして先も見据えた起用を切に願うばかりだ。
■2008年ファーム成績(4月21日現在)
16試合 59打数20安打 2本塁打 9打点 6四球 14三振 打率.339