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2008-04-11

谷上史朗レポート ナニワのゴジラ奮闘記-第73回-

Top_okada080411 2006年4月1日より始まったオリックス・バファローズ岡田貴弘選手レポート。本日で73回目の更新です。   

 大阪・履正社高校時代、その風貌やスケールの大きな打撃がヤンキース松井秀喜選手を彷彿とさせることから、「ナニワのゴジラ」という異名がついた岡田選手。
 2005年の高校生ドラフトで、オリックスに1巡目で指名されて入団。2年目の昨年は、シーズン前半こそ不調だったものの、北京で開かれたオリンピックプレ大会での活躍を契機に後半復調しました。
 そして、期待がかかった3年目。開幕は2軍スタートとなったものの、どうやら事態は良い方へ向かい始めたようです。
 そんな「ナニワのゴジラ」が奮闘する姿を、高校生の頃から岡田選手を取材し続けてきたライター・谷上史朗氏の視線でレポートいたします。今回はどんな内容になっているでしょうか?

           

9日のウエスタン中日戦を観戦

Okada080411試合前に話を聞いたときの岡田選手。好調なスタートに対しては相変わらずマイペースな反応だった

 前回、久しぶりに絶好調を伝えるレポートを書くことができ、さあ、今回。前回更新日の4月1日と2日に雁ノ巣でソフトバンクと2連戦が行なわれた。
 ここでもうひと暴れしていれば、その頃貧打に喘いでいた1軍から呼びがかかったかもしれないが、福岡遠征から戻り、5日から1軍に合流したのは古木克彦だった。
 この時点で古木もウエスタンリーグで3割5分を超える高打率を残し、打撃成績でも岡田のすぐ下にいた。好調を保っていた上に1日のソフトバンク戦で一発も放ち、今回はこちらが選ばれた格好だ。おそらく、岡田と古木のどちらを上げるか、という選択になったのだと思う。
 しかし、好調をキープしていけば、近いうちに昇格のチャンスは必ず巡ってくる。そこで“その後”の状態を確認すべく9日に「あじさいスタジアム」で行なわれた中日戦を取材してきた。

 試合開始1時間前に到着すると、球場入口で岡田が携帯電話をかけていた。治療院か何かに予約を入れているようだったが、電話が終わったところで一声かけた。

谷上 出だし好調やな。
岡田 う~ん、広島戦は良かったんですけど、最近ちょっと落ち気味ですね。
谷上 早いな(笑)。でも、とにかく滑り出しとしてはここ2年にない好調。その広島戦あたりは自分でも“この感じ!“っていうものがあった?
岡田 いや、特に何か違ったっていうのはなかったんですけど。
谷上 じゃあ、そこからちょっと調子が下ってきいるっていう今は何かが違ってきてる?
岡田 それも特になくて。今も小川さん(博文・オリックスコーチ)には形は悪くないって言われてるんで。
谷上 そういう中で爆発する日もあれば、そうでない日もある…、と。なら、今日はとにかく期待してるから、頼むで。
岡田 はい。

    
崩されたヒットも大切

 福岡から戻って以降のサーパスは、5日、6日と神戸サブグラウンドで社会人の三菱重工神戸、新日鉄広畑と交流戦を行い、8日は中日との3連戦初戦を戦っていた。
 この間の岡田は、5日が出番なし。6日は2打数ノーヒットで、三振、四球が1つずつあり、犠牲フライによる打点が1。そして、8日は4打数1安打、1三振という成績だった。
 5日の欠場はその日、1軍が京セラドームで試合を行なっていたため、もしかすると試合前の練習に参加し、首脳陣が古木と2人の状態を確認したのかも…という気もしていたが、それは聞きそびれてしまった。

Okada_swing080411「4番・ファースト」で出場した9日の試合。岡田は決していい状態ではなかったが、その中で1安打1四球。しぶとく結果を残した

 とにかく、名古屋での開幕戦以来の観戦に気合を入れてネット裏に座ってじっくり観た。公式戦では僕も初めて「4番ファースト岡田」のアナウンスを聞いた。
 で…、結果からいうと3打数1安打、1四球、1三振。順にセカンドライナー、センター前ヒット、空振り三振、フォアボールという内容だった。
 3打席目までの相手投手は右腕の清水昭信で、4打席目はサウスポーの菊地正法。ヒットもセカンドライナーも芯でとらえた打球ではなく、三振はワンバウンドの変化球に完全に崩されてのもの。この日に限ってはボールの見極めも含め、試合前の本人の言葉通りもうひとつだったようだ。
 しかし、そういう中でもヒットを打ち、フォアボールを選んだことは評価できる。調子のいい時はみんなある程度は打つ。調子の落ちてきた時、打席で崩された時にどれだけしぶとくヒットを打ち、フォアボールを選べるか。ここで打率も大きく変わってくるのだ。

             

藤井康雄氏の岡田評

 この日のネット裏には、今年からオリックスの編成担当となった藤井康雄さんが来ていた。岡田の1年目にはコーチとして、2年目にはスカウトとなり、今年は編成担当。今は立場上、選手に関しあまり込み入った意見を口にすることはできないが、岡田の状態を見ての率直な感想を聞いた。

「去年までと比べて良くなったのはタイミングの取り方でしょうね。タイミングが取れるようになったから、今年は初球から手が出てる。1年目、2年目はなかなか最初から振れなかったからね」

 前にここでも書いたが、高校時代の姿を思い出しても、岡田は本来初球から手が出るバッターだ。プロに入ってからも調子のいい時は初球からバットが出ている。そのいい形が今年はスタートから続いているため目立つのだろう。いい傾向だ。
 一方で藤井さんはこうも言った。

「まだバットが少し外から出てくるんですよね。これがスパッと内か出るようになれば、もっと良くなってくるんですけどねえ…」

 この点は1年目から藤井さんが指摘し、いろいろと練習でも取り組んできていた点だ。

 確かに1軍で活躍している、例えば小笠原道大(巨人)やメジャーへ渡った福留孝介(カブス)のスイングなどを思い出してもらうと、読者にも「内から出る」という形が浮かびやすいと思う。前のヒジもそうだが、うしろのヒジを締めて、絞って内から外へ振り抜くスイング、あのイメージだ。
 以前、やはり内からバットの出る印象の強い西岡剛(ロッテ)に話を聞いた時は「(左打席の)左ひじに意識を置いて脇を締めて、体の前にヒジを持ってくるイメージで振っている」と話していた。そういう選手の意識はやはり、後ろ手のヒジに対して強いようだ。果たして岡田は…。

Okada_running080411岡田は決して打つだけの選手ではない。今シーズン、まだウエスタンリーグで盗塁は決められないでいるが、積極的にスタートを切っている

 内からバットが出ればヘッドも遅れてしなって出てくるようになりヘッドが効く。振り出しも遅くなるのでわずかでもボールを長く見ることができる。当然、ヒットゾーンも広くなる…。と、まあ、いいことだらけというワケだ。
 岡田の打撃レベルがもうワンランク上がり、1軍でバリバリ活躍するようになるのは、このインサイドアウトのスイングを完全に身につけた時なのかもしれない。

 

打って、守って、走って、1軍昇格を待つ

 また、もうひとつ。この日の試合のことで加えておきたいことがある。それは、4回にヒットで出たあとの走塁だ。
 二塁盗塁を試みてアウトになったのだが、おそらくは単独盗塁だったはず。このアウトで盗塁死は3つ目となり、目下リーグトップ(成功0)を独走中ではあるが、走ろうとする姿勢、意識はこの先も絶対に忘れてほしくない。
 実際、この日の失敗や、開幕戦でタッチアウトとなったシーンを見たときも、タイミング的にはかなり際どいものだった。岡田は盗塁に関して悪くない感覚を持っていると思う。

 以前、本西厚博氏(元オリックスほか)に走塁の取材をした時、城島健司(マリナーズ)の走塁をかなり褒めていたことがあった。
 本西氏はロッテのコーチとして対戦し、今はBS放送の解説者として城島を見ているわけだが、状況判断の良さや、スキがあれば盗塁も仕掛けていく姿勢を大いに評価していた。岡田の魅力はもちろんバッティングだが、走塁に関しては目指せ城島! だ。

 そして、走塁と同様に守備についても磨いていってほしい。
 8日に行われた1軍の対ソフトバンク戦でのこと。この日スタメン出場した古木は、2安打を放つなどバットでは期待通りの活躍でアピールしていた。
 しかし、ライトの守備では平凡なフライに対して右往左往しながらやっとのことで捕球すること2回。1度は尻餅までついたため、一塁ランナーにタッチアップを許してしまった(この日試合が行われた熊本・藤崎台球場は風もあったようだが)。
 元々は三塁手だったとはいえ、この外野守備のマズさが横浜での出番を少なくした面は間違いなくあった。
 結局、8日に2本打っていながら、古木は以降11日までの3試合でスタメン出場はなし(9日の先発はサウスポーの大隣だったがあとの2試合はいずれも右投手が先発)。やはり、打つだけではダメなのだ。

First_okada080411プロ入り後、年々ファーストを守ることが多くなっていた岡田だが、1軍に昇格したら外野での出場もありそうな気配だ

 そんなことを思っていると、11日の更新日に鳴尾浜での阪神戦を観戦していた知人からメールが届いた。
 そこには「今日は4番ライトで出場です」とある。
 今季初となるスタメンライトの報を聞いた僕は、

〈これは濱中治、古木と守備に大きな不安のある2人に代わる1軍起用を想定したものでは?〉 

と、勝手に嬉しい想像を膨らませてしまった。
 ちなみにバッティングの方は3打数1安打、1四球、1三振。レフト線へいい打球のヒットがあったそうで、この日もしっかり1安打、1四球。繰り返すがこれが大事なのだ。
 そして、次に好調の波がきた時にはまた派手に爆発して、今度こそは…、だ。

 という訳で、今回は長くなったが今年は滑り出しから好調なので、ついつい文章も長くなってしまうということで…。
 岡田の「3年目の飛躍」に向け、その期待はますます高まる一方だ。

          

■2008年ファーム成績(4月11日現在)
12試合 46打数16安打 2本塁打 9打点 4四球 11三振 打率.348

 
              

(取材・本文/谷上史朗)

このシリーズは毎月1日、11日、21日頃に更新しています。次回更新は4月21日の予定です。

コメント

返信遅くなりました!

永久欠番55さん、コメントありがとうございました。去年の段階では本人は「ファースト」と言っていました。僕が見てもファーストの方がいいです。外野ではスローイングがまだちょっと弱いです。逆にファーストでがグラブ捌きが柔らかくて特にショートバウンド送球での捕球ミスは見た記憶がありません。

Nabeさん、はじめまして。コメントありがとうございます。永久欠番さんの返信にも書きましたが、本来はファーストがベストですが、正直、古木の守りを見ていると岡田を使ってよ、と思いたくもなりました。本当に普通の打球を普通に捕って、普通に投げてくれれば外野での守りはいいと思っています。とにかく内野も外野も打球を受けてバッティング同様レベルアップあるのみです。

久しぶりに投稿します。
昨日サーパスの試合を観戦しました。
4番、レフトでの出場で1打席目から順に中越2塁打、右前打、空振り三振でした。
久しぶりのマルチ、特に2塁打は低いライナーでまっすぐ伸びる彼らしい当たりでしたが、
レポートでもあったように初球から捕らえた点がプロ入り以来昨年まで少なかった姿だと思います。
他の打席でも早いカウントから積極的に打ちにいっており、好調なのが見て取れました。
走塁面では見せ場はありませんでしたが、守備も無難にこなしてました。
本人は本心ではどこが守りやすいのかまた聞いていただけると幸いです。
残念だったのが時間制限で最終回となった8回、あと1人で回ってくるというところで攻撃が終わった点です。
投手がニコースキーだったので今の状態が1軍レベルの左腕に通じるのか見てみたかったです。
結果次第で即1軍もあったかもしれませんがツキがなかったですね。
最後の打者が履正社の後輩の土井だったのも高校時代から2人を見ている私には複雑でした(笑)
今後も調子の波を小さくして昇格を掴み取り、今回のように本拠地での4番を早く1軍の試合で見てみたいものです。

初めて(以前も一度したかもしれませんが)コメントいたします、元オリックスブルーウェーブファンのNabeと申します。いつも楽しく岡田レポート拝見しております。入団前から岡田選手には非常に期待しております。特にオリックスに入団してくれましたので、イチロー以来の大スターになって欲しいと願っております。今回の情報で「おっ」と思わされたのは、やはりサーパスでスタメンライトで出場した、というところです。谷上さん同様、僕も「これは1軍での起用を見越したものか!」と興奮しました。今の1軍ライトの現状を考えれば、もし岡田選手がきっちりと(凄いプレーではなく)守れるのならば、即1軍ライトで使って欲しいし、また十分に使ってもらえるチャンスはあると思います。その際には、是非そのチャンスをつかんで離さないでいて欲しいと思います。
最後になりましたが、今後も詳細な岡田レポートを楽しみにしております。

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