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2007-12-11

谷上史朗レポート ナニワのゴジラ奮闘記-第62回-

Okada_top071211 2006年4月1日より始まったオリックス・バファローズ岡田貴弘選手レポート。今回で62回目となりました。

 大阪・履正社高校時代、その風貌やスケールの大きな打撃がヤンキース松井秀喜選手を彷彿とさせることから、「ナニワのゴジラ」という異名がついた岡田選手。
 2005年の高校生ドラフトでは、オリックスに1巡目で指名されて入団。飛躍が期待された2年目は、シーズン前半こそ不調からファーム暮らしが続いたものの、北京で開かれたオリンピックプレ大会で日本代表の中軸として活躍。帰国後も好調を維持しました。
 その後、宮崎フェニックスリーグでも打棒が爆発し、良い状態のままオフに突入。3年目の来年がますます楽しみになってきました。
 そんな「ナニワのゴジラ」が奮闘する姿を、高校生の頃から岡田選手を取材し続けてきたライター・谷上史朗氏の視線でレポートいたします。今回はどんな内容になっているでしょうか? 
       

「岡田貴弘を応援する会」に出席

 星野ジャパンが北京五輪の代表権を賭けてフィリピンと戦っていた12月2日の夜。僕は大阪、箕面市にあるとあるイタリアンレストランにいた。
 「第1回 岡田貴弘選手を応援する会」に出席のためだ。「応援する会」の話はこれまでに何度も書いてきたが、シーズンオフ企画として、今回は岡田を囲んで食事をしよう、ということになったのだ。

Okada_talk03「岡田貴弘選手を応援する会」のトークショーでのひと幕。岡田(右側)は筆者(左側)の質問に照れ笑いを浮かべながらも受け答えした
 夕方からの食事会の前に参加希望者は岡田を混じえゴルフも楽しんだという豪華版。岡田のナイスショット写真もここで掲載したかったが、僕は当日朝から京都の亀岡で取材があり、食事会のみの参加だったのでやむなし。
 それはともかく、17時30分にスタートした会の中で僕には1つ“仕事”が待っていた。半ばで岡田にインタビューをしてほしい、という話を応援する会のYさんから頼まれていたのだ。
 そこで会が始まる直前に簡単な打ち合わせを…と思い、店に入ってきたばかりの岡田をつかまえた。ところが「あとでインタビューさせてもらうから…」と言うと「聞いてないですよ~」という顔。続けて「簡単に答えられる質問でお願いします」と来た。もとより、会場には家族連れも多く、子供や女性の姿も目立った。そこで『野球小僧』的に「スイングの形が…」「足の上げ方が…」「軸が…」と、やるつもりはなかった。ただ、集まった人が聞きたいのは岡田の生声。「これもプロの務め! しっかりしゃべってや!」と背中を叩いて席へ戻った。
 そこから20分くらいのイメージで、ざっと質問・流れを考えていた。するとそこへYさんが岡田からの伝言を持ってやってきた。「ゴジラが5分くらいにしてほしいって言ってるんですけど…」。何という弱気! 会場の期待はもちろん、当初考えていた台湾行きを断念し参加させてもらった僕としても、それはちょっと…、だ。ということで、岡田の要望は独断で却下させてもらい、インタビューに突入した。
     

Okada_talk01「カラオケ握り」とヤジが飛んだマイクの握り方に注目

即席トークショー

 〈ついに来たか…〉という感じの岡田をステージへ促し、いざ、スタート。
 僕も慣れないインタビュアー役で何を聞いたか記憶がかなり曖昧ながら、覚えている範囲で一部紹介させてもらうと、こんな感じだ。

谷上 まず、プロ2年が終わったわけやけど振り返っての感想を。
岡田 う~ん、そうすねえ…。自分が思っていたよりも成績も全然だったんですけど…、後半に手応えを感じることができたのでそれはよかった、と思っています。
谷上 後半はかなりいい感じやったな。
岡田 そうですね。

 岡田が前に立った早々、会場からは「カラオケ握り!」とマイクの持ち方に“ヤジ”が飛び笑いも起きた。が、予想通り岡田の口は重い。ここで補足説明の意味も兼ね、僕から会場へ向け、去年と今年の成績を知らせた。数字だけ見ると、ほとんど変わっていないが、中身がまるで違うんです! と力説。「後半には20試合連続ヒット」「ラスト20試合弱で打率が4分近く上昇」等々、後半の好調ぶりを岡田に変わってアピールさせてもらった。

谷上 後半浮上のきっかけは?
岡田 そうですねえ…。いろいろ試していく中でこれまでにない感じを掴むことをできて、それが結果にもつながっていったんだと思います。

 1つ、2つ質問のあと、再び会場へ補足説明。岡田という選手は非常に発言が控えめで、通常の取材の際もめったに「好調宣言」は出てこないし、決して多くを語りたがらないタイプだ、と。
 だから――。今の「手応えを感じている」「これまでにない感じ」という言葉も、相当なことなのだ、と。

Okada_talk02バッティングのことについて、マイクをバット代わりにして話す岡田

谷上 オフには濱中も入ってきて、カブレラ獲りというニュースも聞こえてるけど、そのあたりは?
岡田 やっぱり、それは気になります。
谷上 でも、自分さえ結果を出せるようになれば…、使ってさえくれば…、という気持ち?
岡田 そうですね…。今年は1度も1軍に上がれなかったんで、来年は何とか1軍で結果を出せるようにやっていきたいです。
谷上 ところで夏にはプレ五輪にも参加したけど、星野監督の印象はどうやった?
岡田 やっぱりオーラがありましたし、怖いって印象もあったんですけど、いるとチームが引き締まる感じがありました。
谷上 実際に怒られたりは?
岡田 それはなかったです。
谷上 バッティング担当の田淵さんからはいろいろ教えてもらった?
岡田 技術的なことは特になかったですけど、いろいろ声をかけてもらいました。
谷上 ジャパンのユニフォームを着た経験も生きた?
岡田 そうですね。いい経験をさせてもらいましたし、それが後半にもつながったと思います。
谷上 そういえば、明日(3日)は契約更改らしいな。感触は?
岡田 ダウンでしょうね。
谷上 そう?
岡田 多分、だから少しでも粘って下がり幅を少なくしてきたいと思ってるんですけど。
谷上 まあ、来年打ったらすぐ取り返せるわ。
(翌日の更改では本人の予想通り推定10万ダウンの710万でサイン)

 トークが弾む!という感じになるまでにはまだまだ時間がかかりそうだったので(笑)、後半は会場の人からの質問を受け付けることにした。

       

Calendar筆者が抽選会で当選したオリジナルカレンダー
的中!2008年オリジナルカレンダー!

 ここからようやく岡田の表情もほぐれ、多少口も滑らかになってきた。
 子供たちからは「足のサイズは何センチですか?」といった素朴なものから「どうしたらホームランが打てますか」「アッパースイングを直すにはどうしたらいいですか」といった技術的なものまでいろいろと飛び出した。
 ちなみに1つ目の答は「28センチ」。2つ目は「わかれば僕が教えてほしい」と笑いを取っていた。さらに技術的な話については、マイクをバットに見立てての実戦指導なども行い、少年ファンの視線をひきつけていた。一方で岡田と年齢も近そうな青年からは「ところで彼女の方は?」という“軟派”な質問も。
 こちらの答えは…。個人情報に配慮し、いつかのお楽しみさせてもらいます(笑)。

 その後も会は続き、後半には岡田グッズ満載の抽選会も開催。数々の“お宝”がプレゼントされ、会場は盛り上がったが、中には岡田が使っているものと同じマスコットバットのプレゼントもあった。もし、当たれば僕もその夜から振り込みを始めようかと思っていたが、残念ながらハズレ。それでも〈もうなさそうやなあ〉と思っていた終盤、こちらも貴重な岡田母作成のオリジナル2008年カレンダーが当たった。
 これで来年も岡田を眺めながら1年を過ごせることになった。感謝。

        
課題はトークの上達か?

 盛況の中で2時間あまりの会は終了。岡田は最後もサインや記念撮影に応じ、忙しそうにしていたが、去り際に今後のスケジュールを聞いた。しばらくは合宿所でウエートやバッティングなどを続け、20日前後からは母校・履正社へも練習で顔を出す予定とのこと。
 それを聞いた後「あっ、22日には尼崎でシンポジウムに出ます」と言ってきた。これはプロとアマの隔たりを低くし、野球の底辺を拡大していこうと、2003年から開催されている「夢の向こうに」というシンポジウム。各球団の選手たちが、会場に集まった高校球児からの技術的な質問に答えながら、壇上で実際に指導するというものだ。

Q_and_a質問タイムでは子供たちから素朴な疑問が岡田に飛んだ(岡田は写真左側

 僕も過去に見たことがあるが、その時は初回で工藤公康や古田敦也らベテラン選手が多く登場していた。それが開催地区が拡大される中で、若手選手も借り出されるようになってきて、今回、岡田にも出番が回ってきたというわけだ。
 当日は岡田にとって試練の時間(?)になるかもしれないが、これもプロの務め。上手くしゃべろうと思わず、何か1つ、集まってきた高校生たちの頭に残る岡田ならではの言葉を伝えてほしい。
 …なんて、今回の一件でしゃべりの勉強の必要性をヒシヒシ感じている僕がアドバイスすることでもないのだが。ともあれ野球トークの上達も目指して、頑張れゴジラ!(笑)。1軍で活躍すれば取材も、ヒーローインタビューの機会も、野球教室の指導もどんどん待っているのだから。

(取材・本文/谷上史朗)

このシリーズは毎月1日、11日、21日に更新しています。次回更新は12月21日の予定です。

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