北信越BCリーグ開幕戦観戦記
今年からスタートした北信越BCリーグ。4月28日の開幕戦の模様を『野球小僧』の「ワールドベースボールレポート」でおなじみのライター・石原豊一氏が観戦記としてまとめてくれました。現地の生の雰囲気を交えた貴重なレポートをお届けいたします。
開幕、北信越BCリーグ
4月28日、それは北陸地方の野球界にとって記念すべき日となった。この「野球不毛の地」に始めてプロ野球リーグが誕生したのだ。四国アイランドリーグに続く日本第2の独立リーグ、北信越BCリーグがこの日、新潟・三条と長野で産声をあげた。
4月28日 開幕戦 新潟0-9富山
午後1時、東三条駅。新潟から電車で1時間のこの町の中心駅は、いかにも田舎の駅といった感じで、土曜とあって人もまばらだった。
朝まで降っていた雨はやんではいたが、空を見ると今にも一雨きそうな感じ。駅でレンタサイクルについて尋ねると、全部貸し出しているとのこと、市民球場までは歩くと40分はかかりそうなので、バスで行くことにする。駅を出てすぐ左手の待合所へ足を運ぶと、野球観戦者らしき人が数人、球場までのアクセスについて切符売り場のおばちゃんに聞いているところだった。
なんと地元バス会社は、BCリーグのために球場までの臨時バスを出すらしい。サッカー、バスケットと地域密着のプロスポーツを育て挙げた新潟、この野球リーグに対しても地域ぐるみで盛り上げようという姿勢を感じる。
バスを待っていると、小学生らしいグループが地元チーム、アルビレックスの話をしている。無論選手の名など知ってはいないが、とにかく新潟のチームを応援しようと、初めて見る「プロ野球」に胸をわくわくさせていた。
新幹線の駅発のバスは5分ほど遅れて到着。遅れるというので、球場へ向かう乗客が殺到しているのかと思っていたが、バスはガラガラ。我々を乗せてちょうど座席が埋まる程度だった。リーグ当局は観客5000人を見込んでいるらしいが、本当にそんなに集まるのだろうか? 同じ独立リーグのアイランドリーグは1000人に満たない観客しか集められていない。開幕戦とは言え、この天気。しかし、そんな心配が杞憂であったことは、すぐにわかった。球場に近づくにつれ、バスは速度を緩める。渋滞。山間の球場への一本道には車の列ができていた。
球場の周囲の駐車場は満杯。内野正面のチケット売り場へと急ぐ。場内では開幕セレモニーが始まっているらしく、アナウンスが響き渡っている。球場の周りは人、ひと、ヒト。チケットブースだけでなく、スタンド前に出ている屋台にも列ができていた。屋台はアイスクリーム、カレー、ラーメンに地元の黒豚の串焼きに五平餅。祭りの雰囲気が漂う。
観客数は4538人。場外では屋台に並ぶ人の列もできた |
チケットは3種類、内野指定1500円に自由1000円。この新潟のホームゲームのみ外野席が開放されていてこれは500円。おまけに予約制のフィールドシート5000円也まである。私は内野自由を購入、チケットにはチームの看板選手、世界を股にかけたマイナーリーガー根鈴選手の写真が入っていた。
この日の観客は4538人。リーグの見込み5000人にはわずかに届かないものの、天候を考えれば上々の出来だろう。この三条市民球場のキャパは14800人。外野席にはちらほらしか入っていないので、内野スタンドは見たところ7割方埋まっているように見える。フィールドには新潟、富山の選手が整列しており、セレモニーが行われていた。
セレモニーのクライマックスは来賓による始球式。地元市長や知事、リーグアドバイザーの漫画家・水島新司氏、そしてサプライズゲスト柔道家・吉田秀彦さんがひとりずつ捕手役の新潟・後藤監督にボールを投げる。朝方までの雨でぬかるんだグラウンドで泥にまみれながら後藤監督は来賓のワンバウンドのボールを受けていた。
それはともかくそのぬかるんだフィールドが気になる。セカンド、ショートの守備位置は田んぼのようになっている。セレモニーはいいけど試合はできるのかいな?
その不安は的中した。試合開始予定時間10分前にセレモニーは終了。来賓の退場とともにグラウンドキーパーが5、6人整備を始める。こんな人数で間に合うはずがなく、試合開始は14時40分になるとのこと。それでも両軍の選手たちは外野に出てアップを始めた。
それにしてもだ、これだけの観衆を待たせていいのだろうか? これからファンをしっかりつかんでいかねばならないときにこの試合運営には首をかしげてしまう。数10キロ離れた新潟では朝から高校野球が行われている。この日は開幕日ということで、来賓やマスコミなどの対応にスタッフも追われていたのだろうが、一番大事なのはファンなのではないだろうか。
前の日から内野にシートをかぶせるなどの対応や、朝からの整備という選択肢はなかったのか。そもそも試合開始時間を守るためにはセレモニーと並行して整備をすべきではないか。このあたりは少々辛口ではあるが、素人運営といわれても仕方がない。
この日のグラウンド状態が、5、6人が半時間やそこらの整備で済むものでないことは誰の目にも明らかだった。案の定、試合開始はさらに遅れ、結局ほぼ2時間遅れの15時47分になった。辛抱強く待っていてくれた新潟のファンも、2度目の延長のアナウンスにはブーイングと野次で返していた。
今日の試合には県内のかなり遠いところから来ていた人も多いはずである。試合開始までに少なからぬ人達が帰ってしまったのは実に残念であった。おまけに試合開始30分前から中継していた地元TV局の中継は、肝心の試合を中継できずに番組を終えてしまった。これには解説に来ていた四国アイランドリーグコミッショナーの石毛氏も苦笑していた。
悪天候の中、選手もグラウンド整備に参加。ようやく試合開始のメドがたった |
結局、ドロドロのグラウンドの復旧には選手も駆り出され、やっと試合ができる状態になったと思ったら、選手の再ウォームアップ。それが終わってようやく試合開始か待っていると、ライン引きが完了していない有様。このあたりの試合運営は今後の課題であろう。
この開始の遅れは、試合にもろに影響した。両軍ともピッチャーが不安な立ち上がり。特に新潟の先発藤井は2回までに6点を失った。制球が定まらない上、地元開幕で緊張の見える野手陣に足を引っ張られる形で試合の主導権を富山に奪われてしまう。
野手では特に三塁手の野原の動きが悪かった。三遊間のゴロやバントに対して足が全く動かない。グランド状態は確かに悪かったが、これは「プロ」である限り言い訳にはならない。それでも初回最後のバッター町田のバットをへし折ってピッチャーライナーに打ち取ると場内からは歓声が沸いた。中盤になると落ちついたが、時すでに遅しだった。
一方の富山の先発小園は悪いなりも低めのスライダーを活用し、序盤をなんとか切り抜け、中盤以降は安定したピッチングで終わってみれば3安打完封だった。
スタンドのファンは待ちに待った「おらが町のプロ野球チーム」の戦い振りを実に楽しんでいた。ミスをした選手にも「これから、これから」と暖かい声がかけられる。3回裏の新潟の主砲根鈴の大飛球は結局センターフライに終わったが、スタンドのファンは大きな歓声と拍手を送っていた。
試合は中盤落ち着いたが、序盤の6点で勝負は決まってしまった印象だった。5回になると多くの人が家路についた。私も翌日の富山での試合に備え、試合途中に席を立たざるを得ず後ろ髪引かれる思いでスタジアムを後にした。
(取材・文/石原豊一)

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>TKさん
『野球小僧』編集部です。
BCリーグに関する追加情報の書き込みありがとうございます。
生でご覧いただいた方の報告は大変貴重です。
東京からわざわざ見に行かれたということで、お疲れ様でした。
『野球小僧』でも、四国と同様に北信越も注目していきたいと思っております。
ではでは。
投稿: 野球小僧編集部 | 2007-05-15 15:28
はじめまして。実は私も東京から(!)三条までこの試合を観に行きました(ちゃんと最後まで観戦しました)。独立リーグ最初の試合はなかなか観に行けるものじゃない…ということで。
でも,石原さんがおっしゃる通り,雨への対策は事前に予測できなかったものか…と思います。
あと,この試合も含めてですが,BCリーグは(ウェブでチェックする限り)投手の力量の差なのか,ここまでワンサイドゲームが多いことが気になります。選手ならびに指導者の方々の奮起を期待します。
最後に,この試合では富山の川端選手が二塁守備で常に元気な声を張り上げていて,最も印象に残ったことを付け加えておきます。
投稿: TK | 2007-05-15 01:37
>りょうさん
『野球小僧』編集部です。
いつも書き込み頂きましてありがとうございます。
独立リーグの運営というのは、生半可なことではないと思いますが、ぜひ成功させて欲しいですね。
今回の石原さんのレポートも「期待あればこそ」厳しいく触れている部分があると思います。
今後のリーグの動きに期待しましょう。
投稿: 野球小僧編集部 | 2007-05-14 21:33
これからは本当の地域密着が大事でしょうねぇ
四国からのプロ野球選手もだんだん増えてきたので
北信越もこれからが楽しみですね^^
投稿: りょう | 2007-05-12 11:57