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2007-05-11

谷上史朗レポート ナニワのゴジラ奮闘記ー第41回ー

Okada_top07051102 2006年4月1日より始まったオリックス・バファローズ岡田貴弘選手レポート。早いもので今回で41回目となりました。

 高校時代、その風貌やスケールの大きな打撃がヤンキース松井秀喜選手を彷彿とさせることから、「ナニワのゴジラ」という異名がついた岡田選手。2005年の高校生ドラフトでオリックス1位指名を受け、昨年はフレッシュオールスターで本塁打を放つなど、主にファームで経験を積みました。しかし、飛躍が期待された2年目は開幕2軍スタートとなり、不調が続いています。
 そんな「ナニワのゴジラ」が奮闘する姿を、大阪・履正社高校時代から取材し続けてきたライターの谷上史朗氏の視線でレポートいたします。迷える2年目の大砲、岡田選手。果たして不振脱出となったのでしょうか?

      

状況に大きな変化なし

Okada_batting070511なかなか調子が上向かない岡田。入団以来、最大の不振に悩む

 いつものように前回の更新から10日が経過。しかし、岡田の状態は一向に上向かず、本人も岡田ファンにとっても我慢の時が続いている。
 前回以降の10日間でサーパスが行った試合は4試合のみ(うち1つは社会人との交流戦)。現在、ウエスタンリーグは5球団で運営しているため、毎週、どこのかのチームの日程が週の半ばに空くことになる。今回はサーパスが"その番"に当たったわけだが、4試合の結果を記すと次の通り。数字からも、起用法からもいまだ不振であることが伝わってくる内容だ。

5月2日 サーパス○5対0●広島(あじさい)
 相手先発は注目のルーキー前田健太だったが出場なし。

5月3日 サーパス●3対5○広島(あじさい)
 終盤に代打出場のみで1-0。

5月5日 サーパス△3対3△ソフトバンク(八代)
 4-1(ツーベース)。翌6日は雨天中止。

5月9日 サーパス○14対7○全播磨(神戸サブ)
 「4番レフト」で出場し4-1。

 この中で、9日の全播磨との一戦を観戦した。本来ならばバッティング練習からしっかり見たかったのだが、試合前に別の選手の取材があり、岡田の状態は確認できず。試合開始直前にネット裏下にある一室に入った。
 準備を整え待っていると、藤井康雄スカウトが登場。実は前日も阪神大学リーグの試合で藤井さんに会っており、「明日は岡田を見に行ってきます」と伝えていた。一方の藤井さんは、この日も大阪・豊中ローズ球場で同リーグの試合を途中まで観戦し、そこから神戸サブまでやってきたのだ。
 やはり、昨年までの愛弟子たちが気になるのだろう。もちろん、その筆頭が岡田だ。

        

Okada_batting03全播磨との試合。打席の雰囲気からも、厳しい状況であることが伝わってきた

決まらない「ボールを捉えにいく形」

 2人で注目した第1打席はレフトフライだった。相手の先発投手は海外でのプレー経験もある右上手・上村総一だったが、この日に限って言えば球に切れはなく、ネット裏のスピードガンの最速も136キロ。岡田が調子を上げるには格好の相手にも思えたが、真ん中高めのストレートに最後は詰まっていた。
 横の藤井さんも「う~ん」と唸り、「まだまだやなあ」とポツリ。一番に指摘したのは、これまでにも繰り返していた「球を捉えにいく形」が出来ていないこと。「間」と言ってもいいと思うが、本来なら球を捉えにいく流れの中に「ふっ」と決まる瞬間がほしいところで、今の岡田は言葉は悪いが「ダラ~」っと球を捉えにいってしまっている。
 さらに藤井さんの言葉を借りれば、「足を着いてから打ちにいかないといけないのに、着いた時にはもう上体が前に行ってる」。この試合では、岡田のあとの5番を打っていた吉良俊則の状態が良く、2人の打席を見比べるとのそのあたりの違いが確かに感じられた。
 ただ、1打席目の結果を見るまでもなく、打席に立ったところで僕は<今日も厳しいなあ>と苦戦を覚悟した。これだけ見続けていると、“打てそうな感じ”の日が段々とわかるようになっていたからだ。それは体の中から伝わってくる自信はもちろん、構えた時に、ボールを見逃した時の形、雰囲気から伝わってくるものだろう。
 2打席目はインコース低めにきたスライダーか真っスラを、体は前に行きながらゴルフの「寄せ」のような打ち方で拾いライト前に落とした。藤井さんは「悪くても4打席立てば1本は打つのが岡田のセンスなんだけど…」と言ったが、本来の当たりにはほど遠い内容だ。
 ところで、この打席の初球。岡田は真ん中高めのストレートに手をだすも三塁側スタンドへのファウルになっていた。シーズンに入ってから、こういう当たりをよく見る。体は前に流れ、開く。そして、バットヘッドが出てこない。さらにヘッドも寝ているから130キロ前後のストレートでもバットが負けてしまっていた。ゴジラのパワーがインパクトの瞬間にまったく伝わっていないのは明らかだった。
 続く3打席目。僕はビデオ片手に三塁側スタンドに上がり、横の角度から撮影した。結果は、初球ボールのあとの2球目を打ってピッチャーゴロ。やはりバット先端に見えたが、藤井さんに確認すると外のストレート。本人はもちろん捉えにいっているのだが、体がイメージ通りに動いていないのでバットの芯になかなか当たらない。

         

難しいです…

Okada_batting02「難しいです…」と悩む岡田。会話からも深刻さが伝わってくる

 5回裏が終わりグラウンド整備の時間に入ると、藤井さんのところへ大島公一バッティングコーチがやってきた。藤井さんの一言からすぐに話題は岡田へ移り、2人でいろいろと話込んでいたが、時間も少なく途中で話は終わった。しかし、聞いているだけでも難しい…。
 6回の第4打席。今度は藤井さんがスカウトとして普段から持ち歩いているデジタルビデオを手に三塁側スタンドへ。しかし、この打席はバットを振ることなくストレートのフォアボールだった。
 そして、最終5打席目は4番手右腕の外のスライダーを打ってショートゴロ。これもやはりバットの先で「バコッ」という鈍い音がネット裏に響いてきた。う~ん、明るい兆しがまだまだ見えてこない。
 試合後、引き続き練習が行われれば、藤井さんと一緒に観戦のつもりだったが、残念ながら寮へ戻ってウエートとのことだった。そこで、ネット裏の通路に立っていると、岡田がロッカールームから出てきた。通路におにぎりなどの軽食が置いてあり、それをつまみにきたのだ。僕はすかさず声をかけた。

谷上 で、どないなってんの?
岡田 はあ…。全然振れないんです。
谷上 ちょっと長いよなあ。
岡田 はい…。今は何をやっても上手くいかない感じですねえ…。
谷上 オープン戦までは結果もそれなりに出てたのが…。
岡田 こっちに戻ってきてそこから崩れて、そのままですねえ。
谷上 開幕以降はずっと低調なままやからなあ。
岡田 そうですねえ。(バッティングが)難しいです…。

      

悩む前に動くのも手

 こちらも何を話せば…、という状況で、なかなか言葉も弾まない。そこへ藤井さんがやってきて、一言、二言言葉を交わすと、狭い通路で即席バッティング指導が始まった。岡田も真剣な表情で耳を傾けていたが、10分程が過ぎた最後に岡田は再び「(バッティングは)難しいです…」とポツリ。バッティングにしろ、ピッチングチングにしろ「打つ」「投げる」という感覚を教えることは本当に難しい。岡田を追いかける中で改めて僕も感じさせられている。
 最近、社会人時代には都市対抗へも10度出場し、社会人と高校で監督経験もある元・スラッガーに話を聞く機会があった。その人は選手にバッティングを教える難しさを語る中でこんなことを言っていた。
「ある選手にヒザの辺りを振ってみろ、というと実際にはベルト辺りを振る。次に地面をこするように振ってみろと言うとやっとヒザの辺りを振る。わかりやすく言えば、それくらい頭の感覚とバットを通しての動きにはズレがある。だからズレがあることを理解した上で、バッティング指導もしないといけないし、選手も聞かないといけない」

Okada_defence070511とにかく一刻も早く不振脱出へのきっかけをつかみたい。積極的に動くのも手だ

 さらにこうも付け加えた。
「教える側が本来伝えたいと思っていたこととは違う解釈を選手がしたのに、それがいい結果を生む場合もある。そう思えば『何が合うかわからない』ってことなんですよ」。
 一見、無責任にも聞こえるが、この感覚は非常に大切だと思った。
 岡田も連日、いろんな人からいろんなことを言われ、相当頭も疲れていることだろう。こうなれば「100聞いて試した中から1つ合うものがあれば儲けもの」くらいの感覚でやってみるのも手かも。少なくとも<また違うことを言われた。う~ん…>となるより、積極的にアレコレ試していく方がスランプ脱出の出口にも近そうな気がする。あくまで外野席の気楽なアドバイスだが、そういう開き直りも案外大切かもしれない。
 
5月10日現在の成績
[ファーム] 20試合 71打数13安打 打率.183 0本塁打 2打点 3四死球 18三振 0盗塁

(取材・本文/谷上史朗)

このシリーズは、今後、毎月1日、11日、21日に更新しています。次回更新は5月21日の予定です。

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コメント

オリ姫さん、コメントありがとうございます。
ようやく1本出て何か僕もホッとしました(次回記事)。でも、本人は毎日が競争なんで気が休まることもないでしょうけど。そんな戦うゴジラを僕たちは陰ながら応援していきましょう。

履正社OBさんコメントありがとうございます。
オリックスには岸田、土井、岡田と履正社トリオが揃ってますけど、やっぱり岡田にガンガンいってもらわないと…、ですよね。やってくれるはずです。

岡田が最近調子悪いみたいなんで心配です。やけど岡田ならすぐに復活して打ってくれるはず☆心から岡田の活躍を期待してます!!

拝啓
オリックスファン歴2カ月強でしかないオリ姫と申します。
3月から なにわのゴジラを楽しみに拝読させていただいています。
10日ごとの更新を心待ちにするとともに 岡田君の脱不調を、祈るような気持ちでいます。    
自分の人生や仕事と照らし合わせて見てしまうからかもしれません。(・・)  つまずいたときに 何が原因かを立ち止まって考えることも大切なときもあるけど 岡田君はシーズン真っ只中の今、「悩む前に動く」 そこから何かをつかみ取ってほしいですね・・・

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