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2006-11-21

谷上史朗レポート ナニワのゴジラ奮闘記-第24回-

Okada_top24 シリーズとして連載中のオリックス・バファローズ岡田貴弘選手レポート。今週でもう24回目です。元気に続いております。

 昨秋、高校生ドラフトでオリックス1位指名を受け入団した「ナニワのゴジラ」こと岡田貴弘選手。プロ1年目の奮闘ぶりを、履正社高校(大阪)の下級生時代から取材し続けてきたライターの谷上史朗氏の視線からお届けします。
 高校時代、その風貌やスケールの大きな打撃がヤンキース松井秀喜選手を彷彿とさせることから「ナニワのゴジラ」という呼び名がついた岡田選手。高知で行われていた秋季キャンプは昨日打ち上げ。今回は岡田の仲間でもありライバルでもある同期のプロ1年生について振り返ります。
 それでは、必読のレポートをどうぞ!
 
 
ゴールデンルーキーたちのプロ入り後を振り返る

 岡田が参加していた高知の秋季キャンプ。ずっと気にはしていたのだが、アジアシリーズ→明治神宮大会→岡山→和歌山→姫路→大分…と、他の取材で奔走する間に気付けばキャンプ最終日の20日となってしまった。
 彼の秋の成長、苦悩ぶりは、まとめて本人の話を聞いてから次回以降にたっぷり紹介するとして、今回は岡田と共に今年プロの門をくぐった高卒ルーキーたちの1年をざっと振り返ってみようと思う。「ナニワの四天王」のほかにも大豊作と言われたゴールデンルーキーたちはスタートはどうだったのか?
 
 

Hirata高校時代から続く右肩痛に不安はあるが、打撃面で片鱗をみせた平田

打撃面で「らしさ」出した平田良介(中日)

 まずは平田良介(中日)。落合博満監督の強い要望で高校生ドラフト1巡目で入団も、高校選抜チームの一員として参加した昨秋のAAA大会時に痛めた右肩(関節唇)の影響で春季キャンプから別メニューでのプロスタート。
 5月に戦列に復帰し、シーズン中の姿はこのレポートの中でも何度か書いたが、何より気になるのは高校時代の面影を完全に失った肩。強打の一方でプロに入れば「強肩」と「足」が、平田の大きな武器になると思っていただけに心配だ。シーズン後半も全力での返球を見ることはできなかった。
 一方の打は、「さすが」というものは見えた。高校時代から通常より重めの竹バットで振り込んできただけにスイングの鋭さなどは高卒らしからぬものがあった。ただ、岡田とは違い小柄な体で飛ばすための肝でもある体を使いより遠心力を生かそうとするスイングはプロの投手のスピード、キレの前では差し込まれる場面も多かったように思う。
 秋季キャンプでは岡田同様、フォームの修正に取り組んでいるという。聞こえてきた話ではテークバックを小さくするというのが1つのポイントのよう。シーズン後半には構える前に大きく反り返り、バットを神主のように体の前に垂らす動きも影を潜めていたように、平田と言えども「これまで通り」というわけにはいかないということ。ただ、それより何より右肩の完治が待たれる。
 
[ファーム成績] 45試合131打数35安打 3本塁打23打点 打率.267
[1軍成績]2試合2打数0安打

 
 
辻内崇伸(巨人)はハワイの経験が生きるか? 

 辻内崇伸(巨人)のイースタンでのプロデビュー戦はCS放送を録画して見た。3回2死までに奪ったアウトのすべてが三振という内容はインパクト十分だった。そこからHRを含む3連打であっという間に3失点を許しはしたが…。
 ただ、その後は大きな話題に上ることはなく、昨夏以来となる岡田との再戦も期待されたフレッシュオールスターも左肩痛のため辞退。その後、早々に優勝争いから脱落した1軍への昇格も噂されたがこちらも見送られた。
 今は10月1日から始まり明日11月22日に終了するハワイのウインターリーグへ参加して揉まれている。伝わってくるニュースによると、日によって好不調の波は大きいようだが、初登板時は6回を投げ1安打8三振、2四球。18日の最終登板では4回3分の2で2安打、2四球、4三振、無失点。力も示している。
 その辻内がハワイで取り組んでいるのがチェンジアップ、スライダーの習得。一番の武器はストレートで、あとは平均的なカーブとフォークが主だったが、そこへカウントを整えやすいボールとしてスライダー、勝負球としてチェンジアップを磨いているようだ。
 しかし、1カ月半に及ぶ海外での実戦経験は技術面だけでなく精神的にも大きな財産になったはず。来季の大きな飛躍へつなげられるか。
 
[ファーム成績]13試合3勝4敗 53回3分の2 47奪三振 41四死球 防御率6.04
 
 
鶴直人(阪神)はしっかり投げられる状態を

 四天王のもう1人、鶴直人(阪神)は高校3年の夏前から不安を抱えていた右ヒジ痛の影響から今シーズンはファームでも登板はなし。現在もとにかく体力強化が一番の課題でまずは不安なく投げられる体になることが先決。
 去年の春先に近大付高のブルペンで捕手の真後ろから見たストレートは本当に惚れ惚れする美しさだった。あれだけキレのあるボールを投げる投手は滅多にいないだけに、来季はまずファームでしっかり投げてほしい。
 
[ファーム成績]登板なし
 
 

Sumitani開幕直後に戦列デビューを飾った出世頭の炭谷は、その後はプロの壁に悩んだ
1軍の喜びと苦悩を味わった炭谷銀仁朗(西武)

 「四天王」以外の高卒ルーキーでは、まずは炭谷銀仁朗(西武)。高卒捕手として51年ぶりの開幕スタメンマスクをかぶり、春先は話題を独占した。5月にスカイマークで行われたオリックス対西武戦をスタンドから観戦した岡田も一歩先をゆく同級生に「すごいですよねえ・・・」と大いに刺激を受けていた。
 が、その炭谷も1ヶ月を過ぎたあたりからプロの壁にぶち当たる。特にバッティング面。5月半ばに取材した時には「もう何が来ても打てません」と珍しく弱音を吐いており、その直後に2軍落ち。1カ月ほどで再昇格を果たしたが最後まで苦悩は続いた。フレッシュオールスター時に会った時も「左ピッチャーならまだ何とかなるんですけど、右の時はまったく…」と浮かない顔だった。
 それでもプロでも屈指の「強肩」と自らパソコンを購入し配球の勉強をするなど研究熱心な一面、加えて平安で鍛えられたハートもある。来季の巻き返しへこの秋も燃えているはずだ。
 
[1軍成績]54試合138打数25安打 3本塁打14打点 打率.181
[ファーム成績]13試合34打数6安打 1本塁打3打点 打率.176

 
 

Yo陽は1軍での公式戦出場こそなかったものの、ファームでしっかり経験を積んだ
陽仲壽(日本ハム)はファームで順調に成長

 ファーム組では陽仲壽(日本ハム)が極めて順調なスタートを切った。アジアチャンピオンに輝いたチームにあって、1軍での試合出場のチャンスはなかったが、ファームでは両リーグ最多の91試合に出場しリーグ打撃成績7位の結果も残した。本塁打もリーグ6位の9本。
 この秋は台湾代表に選ばれたインターコンチネンタル杯に参加。その後、12月には2週間の兵役を務める。この秋はじっくり腰を据えて鍛えたかったという思いもあるだろうが、一味違った経験を経てまたスケールアップする可能性は十分。来季は札幌ドームの試合でその雄姿を見られるのではないか。
 
[ファーム成績]91試合351打数96安打 9本塁打35打点 打率.274
 
 
若竹竜士(阪神)はこの秋赤丸急上昇

 この秋、関西のスポーツ紙を何度か賑わせているのが若竹竜士(阪神)。若竹と岡田は小学校時代から対戦を重ねており、中学時代には「生涯最高の当たりかもしれない」と語る特大アーチも放った相手。その若竹とはファームで夏前に対戦したがその時は、打ち取られた。「スローカーブにやられた」と岡田から聞いた覚えがあるが、それが今「あのボールが面白い」と岡田監督の目に止まった。聞けば最遅82キロとか。
 一方でこの秋はその使い手として知られた久保ピッチングコーチから「曲がりの小さいスライダー」の伝授を受け取り組み中。早い時期にまた岡田との再戦を見たいものだ。
 
[ファーム成績]11試合0勝0敗 28回3分の2 23奪三振 19四死球 防御率4.08
 
 

Okada_batting24 そして岡田は高知での秋季キャンプで何をつかんだだろうか?
そして岡田の秋は?

 ライバルであり仲間でもある同世代の選手たちも、ルーキーイヤーは厳しい戦いを強いられていたことは成績ひとつから見てもわかる。そして、この秋は各選手とも新しいフォームや球種の獲得へ取り組み来季の飛躍に備えている。
 そして、岡田も前回ここでも書いたように、足を大きく上げる形からすり足へとタイミングの取り方を変え、新フォームに挑戦中。だが、20日付けの日刊スポーツ(大阪版)に「秋季キャンプの自己採点は50~60点」とあったように、高知では満足のいく結果は得られなかったようだ。「まだまだですねえ・・・」という冴えない岡田の顔が浮かんでくる。
 ただ、そう簡単に形を掴めないのは当然のこと。秋季キャンプは終わっても、今度はここから来季のキャンプまでにどう作っていくか。そのあたりも今後のレポートの中で紹介していきたい。
 
 
(取材・本文/谷上史朗)
 
このシリーズは、今後、毎月1日、11日、21日に更新していきます。次回更新は12月1日の予定です。

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