シリーズとして連載中のオリックス・バファローズ岡田貴弘選手レポート。今回で21回目です。
昨年、高校生ドラフトでオリックス1位指名を受け入団した「ナニワのゴジラ」こと岡田貴弘選手。プロ1年目の奮闘ぶりを、履正社高校(大阪)の下級生時代から取材し続けてきたライターの谷上史朗氏の視線からお届けします。
高校時代、その風貌やスケールの大きな打撃がヤンキース松井秀喜選手を彷彿とさせることから「ナニワのゴジラ」という呼び名がついた岡田選手。チームが新体制に変わる中、現在、宮崎で行われている教育リーグ「フェニックスリーグ」で奮戦中です。
それでは、必読のレポートをどうぞ!
シーズンは終了しても若手選手に休みはない。岡田は現在、宮崎のフェニックスリーグで奮戦中 |
西京極球場にて堀井スカウトに聞く
19日、大学・社会人ドラフトの目玉でもある大隣憲司(近大)vs金刃憲人(立命館大)の、大学最後の対決を取材で西京極球場にいた。すると、そのネット裏でオリックスの堀井和人スカウトとバッタリ。話題は注目の2人からやがて堀井さんの担当でもあった岡田へと向いた。
「調子ええみたいやなあ。もう2本やろ(宮崎で開催中のフェニックスリーグにて)。順調、順調、順調に来てるわ。また来年のキャンプが楽しみや」
堀井氏がスカウトとして近鉄時代に初めて手がけたのが中村紀洋で、オリックスと合併後の第1号が岡田。そんな堀井氏は、若かりし頃の中村紀の成長を思い出してか「この秋で伸びる選手はグッとくるからね」と、岡田への期待を口にしていた。
西京極での観戦を終え、夕方に外で食事を取っていると、店に置いてあったテレビでコリンズの監督就任会見のニュースが流れていた。
「来年の目標は?」との問いに「簡単です。英語で『W・I・N』勝つことです」と言っていい笑顔を見せていた指揮官。3年契約ということなので、しっかり土台からチームを作りなおしていってほしいが、首脳陣の交代時が若手が飛び出す絶好機でもある。かつてのイチローの例を持ち出すまでもなく、岡田にとっても来季は大きな飛躍のチャンス。追い風に乗れるかどうかは本人次第だ。
確かに何かを期待したくなる雰囲気を感じたコリンズの会見を見ていると、岡田の話も聞きたくなってきた。そこで本当なら、<20日の夜に…>と思っていた電話取材を1日早め10時過ぎに連絡を入れた。
淡々としていた電話取材の裏には
好調中の電話取材にしては淡々としていた岡田。そこからは、もっと高いところに目標をおいている意識が感じられる |
谷上 調子良さそうやなあ。
岡田 感じは結構いいですね。
谷上 何か好調の秘訣が?
岡田 特に変わったことをやってるというのはないんですけど。緩いボールを練習でよく打ってるくらいですかね。しっかりボールを引き付けて打つということなんですけど、そういう意識がいい結果につながってるのかも。
谷上 今日を入れて9試合でホームランが2本。シーズンを思えば驚異的なハイペースや。
岡田 (笑)
谷上 1本目は?
岡田 日本ハム戦(15日)で右のサイドのピッチャー(橋本義隆)からです。真ん中高めの真っ直ぐ。バックスクリーンの辺に飛びました。
谷上 2本目は?
岡田 一昨日の楽天戦(18日)で片山(博視)からです。これも高めの真っ直ぐでバックスクリーン左。片山はあんまり調子もよくなかったみたいですけど、2本とも手応えは良かったです。
片山からは高校時代にも報徳学園のグラウンドで特大弾を放っているが、それに続く一発。なかなか好相性のようだ。しかし"好調"にも特に声が弾ませることもなく、淡々と振り返る様子にはもはや意識が「そこ」にないことを物語っている。堀井さんの言う「グッと来る」秋となりそうな、そんな気配を感じた。最後に、首脳陣の多くが変わり再スタートを切ったチームについても聞いてみた。
谷上 新体制はどう?
岡田 いやあ、しんどいですよ。練習時間も長いですし、結構、厳しいです。
谷上 新しくバッティングコーチになった大島さんから何か言われてる?
岡田 まだ特には…。今はとりあえず見てもらいながら、自分ではこれまでやってきたことを頭に置いてやってます。
谷上 この秋で何かつかめそうな感じはある?
岡田 つかめたらいいですね。
新体制でさらなる「野球漬け」を
岡田はここ2試合はノーヒットで打率をやや下げているようだが、全体としてはひとまずは順調なようだった。その中で本人の口から「厳しい」という一声を聞いた時には、思わずニヤッとなった。
かつて中村紀の取材中に「3年目まで野球漬けでやったから今がある」という話を聞いたことがある。当時、水谷実雄コーチ(現・阪神2軍コーチ)のマンツーマン指導による練習量は尋常ではなく「ノリじゃなかったら潰れていた」という関係者からの声も聞いたことがある。
あるいは若かりし頃のイチローがキャンプ時にマシンを使い3時間連続で打ちっ放しをしていたという話を聞いたこともある。要は、のちにスターとなる選手には、それこそ語り継がれる猛練習をこなした時期が必ずあり、岡田にとってそれをすべき時期は「今」なのだ。
住友平2軍監督のもと、新体制では猛練習の日々が続く。岡田にとってそれが追い風になることを期待したい |
だから、「厳しい」と言った環境の変化に触発され、岡田がこれまで以上に野球の虫となっていくことへの期待が膨らんだというわけ。
今回、2軍監督に就任した住友平氏は、かつて阪急黄金期に上田利治監督のもと、若手育成のためファームでコーチ経験を積んだ人。のちに日本ハムでも上田監督から呼ばれ1軍コーチを務めたが、とにかく厳しさには定評がある。「体で覚えろ!」というタイプで、ある意味で旧式な感覚を持つ住友氏のサーパス監督就任は、岡田にとって案外悪くないような気がする。
しかも、フェニックスリーグでは岡田を常に5番で起用。12日の巨人戦では4番も任せるなど、打順ひとつにしても大きく育てようという期待もヒシヒシと感じる。是非、新しい首脳陣との出会いが岡田にとって大きなプラスをもたらせるものになってほしい。そのためにも、この秋は寝食を忘れて遮二無二バットを振ってほしい。
さて、僕の観戦予定が立たないうちに、リーグ戦は後半戦へ突入。何とか25日の最終戦までには宮崎へ向かい、今年最後の実戦を見てくるつもりだが、果たして締めの一発は見られるだろうか。
フェニックスリーグ成績 10月20日現在の成績
10試合35打数9安打、打率.257、2本塁打、4打点、4四球、10三振
(取材・本文/谷上史朗)
このシリーズは、今後、毎月1日、11日、21日に更新していきます。次回更新は11月1日の予定です。