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2006-05-16

仙台六大学リーグレポート~快腕出現で18年目の異変発生中!

Stand_3  いよいよ、大学野球の春のシーズンは各地区で佳境に入ってきました。なかでも現在、大きな盛り上がりを見せているのは仙台六大学リーグです。
 東北福祉大が平成元年の春季以来、34連覇を続けている仙台六大学リーグ。今季も第4節を終え、東北福祉大、東北学院大、仙台大学が勝ち点3で並んでいました。そして、第5節では大学生・社会人ドラフトの目玉・岸孝之投手(4年)を擁する東北学院大と、東北福祉大が激突。東北学院大が2勝1敗1分で勝ち点を獲得し、18年ぶりの優勝に王手をかけました。
 本日は、優勝を左右する東北福祉大―東北学院大の初戦をレポートします。

▼スカウト電車に揺られて…
 13日、仙台は朝から冷たい雨が降っていて、試合を行うことができるのか、不安になる空模様でした。
 この週は、普段、仙台六大学リーグの試合が行われている東北福祉大球場ではなく、鹿島台中央野球場で行われることになっていました。鹿島台中央野球場は、仙台から40分ほど電車に揺られた大崎市にあります。最寄り駅である鹿島台駅まで行く電車は1時間に1本ほど。天候の回復を祈りながら、電車に乗ると、車内は異様な雰囲気に包まれていました。
 車内のいたるところに、体が大きくて、まだ初夏なのにびっくりするほど色が黒く、ナイロンのカバンを抱えた男性がいるんです。そして、「ちわっ」とよく通る声で挨拶を交わしています。
 そうです。この電車、岸投手を見に来たスカウトの方々がたくさん乗っていたんです。翌日の新聞によると、日米合わせて13球団のスカウトが見に来ていたとか。いつもは関東の球場でよく見かけるスカウトの方や、スカウト部長クラスも目撃。東北福祉大はリーグ内で圧倒的な力を誇るだけでなく、昨年神宮大会で準優勝を果たした全国的な強豪チーム。その東北福祉大に対し、岸投手がどんなピッチングを見せるのか、大きな注目を集めていることがわかります。
 ちなみに、鹿島台駅に着くと、スカウトの方々はタクシーに乗って球場に向かいました。徒歩10分という話だったので、私はそのタクシーの後を追って、小走りで向かいました…。

▼みちのくの快腕・岸孝之投手に視線集中!Kishi2
 球場に到着して、早速、岸投手を探そうと外野で練習をしていた東北学院大の選手たちに目をやります。その瞬間、外野でキャッチボールをしている選手の一人が目に飛び込んできました。キャッチボールなのに、腕の振りが糸を引くようにきれいに、鋭く見えたんです。背番号を確認すると「18」。やはり岸投手でした。岸投手は180センチとのことですが、スマートな体つきのせいか、もっと背が高く見えます。集団の中でも、不思議と存在感をかもし出す投手です。

 スタメンが発表されると、東北学院大の先発はもちろん岸投手。そして東北福祉大の先発はエース・小迫巧投手(4年)です。
 試合が始まり、先攻は東北福祉大。岸投手がマウンドに立つと、観客の視線が一気に集中します。そんな注目をものともせずに、初回を空振り三振、空振り三振、ショートゴロで三人で終える最高の立ち上がり。流しのブルペンキャッチャー・安倍昌彦さんが「吹っ飛んでいきそう」と表現したほどの腕の振りから、快速球を投げ込みます。

 しかし、東北福祉大も一筋縄ではいきません。3回、岸投手のスライダーが少し浮きはじめると、全く手を出さずに悠然と見逃します。そして、ストライクを取りに来たストレートを狙い、レフト前ヒット、レフト線二塁打で無死二、三塁のチャンスを作ると、1番・山崎信弥選手(4年)がレフト前に2点タイムリーを放ち、先制点を奪取。さらに、キャッチャーの二塁送球が逸れた間に1点を追加。強豪チームの底力を発揮します。
 東北学院大も5回裏に1点を返したものの、東北福祉大は6回に2点、7回に1点を奪い、結局、岸投手は7回を10安打1四球6失点の内容で降板。そのまま、東北福祉大が6対1で勝利を収めました。

 何度も岸投手と対戦している東北福祉大だけに、しっかり対策を練っていたようです。スライダーだけではなく、今年3月のオープン戦で岸投手と初めて対戦した東洋大の打線が手を出してしまっていた高めのストレートもじっくりと見極めていました。足かけ17年、34連覇の実績はダテではありません。
 ただし、岸投手の素材の良さは文句なし。お近くの方は、ぜひ、生の投球を見に行ってみてください。「見た目はすごくないけど、打者にはものすごく打ちづらい」というタイプではなく、「見た目からスゴイ!」投手なので、損はないはずです!

Kosako_2 ▼小迫巧投手主演・演出の奪三振ショー開演!
 優勝の行方を占う初戦に勝利した東北福祉大。先発である小迫投手も、ドラフト候補に名前を連ねています。少し荒れた球筋が、かえって打ちづらい投手です。
 その小迫投手は7回1失点、毎回の11奪三振というすばらしい内容でした。初回に、1死一、二塁というピンチを迎えますが、連続三振で切り抜け、そこからは安定感抜群の投球。
 5回に2死一、二塁から1点を奪われますが、この小迫投手、ピンチをピンチと感じさせません。カウントが0―3でも、まだ投手が有利に見えるぐらい、相手の打線を見下せる気持ちの強さを感じました。
 また、3回までに5奪三振を記録しているのですが、そのうちの4つがなんと見逃し三振です。落差の大きい変化球を効果的に使って、テンポよく追い込むと、ストレートで見逃し三振。東北学院大の打者も、見極めているというよりは、手が出ない印象です。それぐらい、小迫投手は堂々と、そしていきいきと投げていました。

Kikori_1▼好投手が続出!
 この試合、両先発投手とも7回で降板。その後を投げた東北学院大・樵(きこり)康裕投手(3年)、東北福祉大・菊川直哉投手(2年)がまた、来年、再来年のドラフト戦線に顔を出しそうな好投手でした。
 樵投手は、左投手で昨秋もリーグ5位の防御率1.33を記録した実力派。しかし、この日の登板は仙台六大学リーグ随一のスピードを持つ岸投手の後。それだけに、そんじょそこらの速球では打たれてしまうのでは? と思いきや、物怖じしない腕の振りから、キレのいいストレートと変化球を繰り出し、東北福祉大打線をキリキリ舞いさせます。8、9回の2回を6人で斬ってとる完璧な投球内容でした。岸投手がマウンドを降りたから、と帰ってしまったお客さんや、スカウトの方が見ていないのが残念です。
 対する菊川投手は一見して、とにかく体が大きい! 2004年には徳島北高校で注目を集め、『野球小僧12月号』のリストでも高い評価で掲載されています。
 8回には、2死から杉田淳吾選手(4年)に三塁打を打たれてしまいますが、落ち着いて後続を断ちます。すると、9回には圧巻の3者三振締め! 将来が楽しみな2年生投手でした。

▼東北学院大、17年ぶりの優勝へ!
 この日は快勝した東北福祉大でしたが、翌14日は7対8で、東北学院大が辛勝。1勝1敗となり、勝負は第3戦までもつれこみます。そして第3戦は、東北福祉大が小迫投手、東北学院大が3連投の岸投手の先発で1対1のまま、延長11回を越え、3時間の規定で再試合ということになりました。
 翌日16日に行われた第4戦は接戦の末、東北学院大がサヨナラ勝利を決め、勝ち点を4としました。東北学院大は、今週末の19日、21日に行なわれる東北工業大戦で勝ち点を獲得すれば、17年ぶりの優勝ということになります。東北工業大は、現在、勝ち点2でリーグ4位のチームだけに、東北学院大にとっては、落とせない一戦になるはず。仙台六大学リーグ最終週に注目です!

★仙台六大学リーグ戦結果

<5月13日>
東北福祉大 00300210 6
東北学院大 00001000 1

※東北福祉大が岸投手を打ち込み先勝Kishi_1

<5月14日>
東北学院大 031000040 8
東北福祉大 000013030 7

※東北学院大が粘り勝ち、1勝1敗

<5月15日>
東北福祉大 0010000000 1
東北学院大 0001100000 1

※岸投手3連投! 息詰まる熱戦も決着つかず、勝負は4戦目へもつれこむ

<5月16日>
東北福祉大 000020020  4
東北学院大 102000002x 5x

※岸投手の登板はなかったものの、劇的なサヨナラ勝利で東北学院大が勝ち点を獲得!

★仙台六大学野球連盟公式HP
http://www.sen6.jp/

★東北福祉大硬式野球部公式HP
http://www.tfu.ac.jp/baseball/

<写真>
上・お客さん、スカウト、報道陣で観客席はいっぱい!
中上・ドラフトの目玉! 仙台のスピードキング・岸孝之投手
中中・堂々とした投球はさすが強豪校のエース・小迫巧投手
中下・樵(きこり)という珍しい名前を覚えておいて損はなし! 樵康裕投手
下・ついに中央球界に登場するのでしょうか? 岸孝之投手その2

(編集部・新井)

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