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2006-04-21

谷上史朗レポート ナニワのゴジラ奮闘記-第3回-

Number シリーズとして連載中のオリックス・バファローズ岡田貴弘選手レポートも今回で3回目に突入しました。
 昨年、高校生ドラフトでオリックス1位指名を受け入団した「ナニワのゴジラ」こと岡田貴弘選手。そのプロ1年目の奮闘ぶりの模様を、履正社高校の下級生時代から取材し続け、『野球小僧』誌上にも関連記事を何度も寄稿してきたライターの谷上史朗氏がお届けします。
 高校時代、その風貌やスケールの大きな打撃がヤンキース松井秀喜選手を彷彿とさせることから「ナニワのゴジラ」という呼び名がついた岡田選手。プロ入り後、どう成長していくのか? 必見のレポートをご覧ください。

高く険しいプロの壁

岡田 今日は全然でした。なんていうんですかねえ…。バッターボックスに立った時から感じがおかしかったんです

 そう言うと「う~ん」としばしの沈黙に入った岡田。12日に神戸サブグラウンドで行なわれニチダイ戦(プロ・アマ交流戦)のあと、本誌用の取材も兼ね、話をスタートさせたところ、冒頭でこのセリフが出た。
 「4番・レフト」で出場したニチダイ戦は、好球を仕留められず、落ちるボールを見極められず、3打数ノーヒット。チャンスで巡ってきた第4打席では開幕戦の最終打席以来となる代打(鈴木邦洋)も送られ途中交代となった。
 試合後に藤井コーチとマンツーマンでロングティーを行い「あの時は結構いい感じで打ててたんですけど、生きた球を打つとどうも…」と歯がゆい思いが続けて口をついた。
 そんな状況の中で約50分話を聞いたが、話題の大半はバッティングフォームに関するものとなった。高3の夏以降、プロでの対応を頭に置き自分なりにどう考え、どう変えてきたのか。そして、その結果として今、見えている課題、取り組んでいる形とは…。
 フォークの変化に「プロの壁」を乗り越えようと格闘する岡田の思いが見て取れるはず。このあたりの詳細は6月号の誌面をお楽しみに。

Groundkeeping00今は技術より馬力

 週末は場所を由宇(山口県)へ移しての広島戦。初戦が4打数ノーヒット1三振で「ニチダイ戦の時と同じ感じで全然ダメでした…」。1日雨で流れたあとの2戦目も4打数ノーヒット3三振で「感じは悪くなかったんですけど、なかなか結果につながらなくて…」。この時点で打率は.171にまで下がってきたが、首脳陣は使い続けることを確認し合っている。大石大二郎監督に聞いた。

大石 技術的にいいところですか? う~ん、今のところないですね。バッティング練習の芯で捉える確率の悪さがそのまま試合での結果につながってるし、すべてにおいてまだまだ。でも、試合では使い続けますよ。技術はないけど、彼には馬力があるから(笑)

 大石監督なりのゲキを含んだ言い回しだったが、この「馬力」「体の強さ」といった点は、多くの関係者がまず初めに口にする岡田の長所。キャンプ中に少し腰を痛めるアクシデントはあったものの、ここまでプロの練習、スケジュールをしっかりこなし、全試合に出続けている。これはファームとは言え、高卒ルーキーとしてはやはり特筆すべきことなのだ。

Longtee00 フォーム改造へ

 18日からは地元へ戻ってのソフトバンクとの2連戦。練習開始に併せ9時過ぎに「あじさいスタジアム」へ到着し、フリーバッティングもしっかり観戦。ところが、絶不調と覚悟して見始めたところ、数本のフェンスオーバーも含め、思いのほかいい打球が飛んでいる。そこで一段落となったところで藤井コーチに聞いてみた。

藤井 これまでフォームについてはほとんど言わなかったんですけど、今日からタイミングの取り方を変えてやってみてるんです。僕の現役時代に近い形なんですけど、今見た感じはなかなかいいんじゃないかな

 ごく簡単に言えば、これまでは少し大きめに上げていた右足をほとんど上げずに、投球動作に合わせ軸足側に小さく引くようになった。そして軸足側に引き寄せるようになった。そして、そこで1つ足先で「クンッ」とリズムを取りボールを捉えにいく。続けて本人に聞いた。

岡田 感じは良かったです。高校時代はあまり意識してなかった『割り』をプロでは意識するようになってから、足を上げた時に腕と体も上に伸び上がるような感じになってたんです。でも、このタイミングの取り方だと上下の動きも少なくなるので、伸び上がりもなくいい感じで『割り』ができるように思います

16打席ぶりのヒット!

 「あとは試合で、どうかです」といって入っていったゲームの2回裏。「8番ファースト」で先発出場した第1打席で早速その成果を見せ、ニチダイとの交流戦も含め16打席ぶりとなるセンター前へのヒットを放った。そして捉えたのがソフトバンク先発・田之上慶三郎のフォーク。これまで見極められずに苦しめられていたボールを拾って、運んだ一打は「公式戦では初めて(フォークを)打てた」(岡田)という当たりでもあった。しっかりとした「割り」によってボールを見極める「間」が生んだ一打と言っていいだろう。
 その後はセカンドゴロ(エラーで出塁)、四球、セカンドゴロで終わったが、打席の中でバタバタしたり、振らされている感じはなく、打撃指導の中で藤井コーチが繰り返し言っている「いつでもいらっしゃい、という形で投球を待つ」という雰囲気も出てきたように思う。試合後、再び本人に聞いた。

岡田 良かったです。しっかり見れましたし、今日は良かったです!

 このレポートを書くようになってから一番の笑顔と弾んだ声でそう返ってきた。もちろん、「これで掴んだ!」というほど甘くはないだろうが、モヤモヤッとしていた中で手応えを感じさせる試合となったことは確かなようだ。そして、あとになり「あの1本が…」と振り返るかもしれない大きな一打は、僕の岡田観戦時、15打席目で出た記念すべき初ヒットでもあった。さあ、次回こそこの流れに乗って快打連発のレポートをお届けしたい。

※「第2号が出るかも…」と期待した翌日は3打数ノーヒット。一気に上昇!とはいかなかったが、次に期待させるムードは出てきた。

Okada0020日現在の岡田貴弘の成績(ファーム)
12試合 46打数 7安打 打率.152 1本塁打 1打点 3四球 11三振

このシリーズは、今後、毎月1日、11日、21日に更新していきます。次回は5月1日です。

また、谷上氏のレポートの中にも記載されていましたとおり、5月10日発売の次号『野球小僧6月号』にて、ブログとの連動企画として岡田選手のインタビュー記事が掲載されることになりました。そちらのほうもお楽しみに!

<写真>
上・練習に耐えられる頑強な肉体を誇るのは岡田の強み。一流プロの条件のひとつでもある
中・藤井康雄コーチの指導によるロングティー。ついにフォームの改造に乗り出す
下・好感触→即大活躍とはいかないのがプロの厳しさ。それでも岡田は笑顔を絶やさず明日に向かって突き進む

(取材・本文/谷上史朗)

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